イギリスの航空ショーで、旧式ヘリ「シーキング」がドローン母艦になるという驚きの構想が発表されました。なぜ今、60年前の機体が注目されるのでしょうか。
ベテランヘリを現代戦へ 「シーキング」を大胆リノベ
イギリスで開催されたファーンボロー国際航空ショー2026で、1960年代に初飛行した大型ヘリコプター「シーキング」が、ひときわ異彩を放っていました。これはイギリス企業HeliOps(HeliOperations)が展示したもので、現代の戦場で新たな任務を担うという驚きのコンセプトが示されました。
シーキングは、日本では海上自衛隊の救難ヘリとして長年活躍したことでも知られる名機です。しかし、初飛行から60年以上が経過し、世界各国で退役が進み、現在では軍で運用する国は少数派となっています。
そんなシーキングを、現在も飛行可能な状態で運用している世界でも珍しい企業がHeliOpsです。同社はイギリス海軍やドイツ海軍向けの訓練支援などを主力事業としており、これまでは退役機を活用した教育・訓練分野で実績を重ねてきました。
しかし、今回展示された機体は従来の訓練用途とは一線を画します。
同社は退役したシーキングに最新のミッションシステムや任務装備を組み込み、現代戦を想定した特殊任務機として活用する構想を提案しています。退役機を再利用する例は珍しくありませんが、ドローン時代を見据えた新たな運用コンセプトを打ち出した点は、同社にとっても新しい挑戦といえるでしょう。
対ドローン用ドローンを搭載 旧式ヘリに新たな役割
展示会場でHeliOpsの担当者は、「機体そのものは古い設計ですが、ミッションシステムは最新のものに更新できます」と説明。さらに、「私自身もシーキングの乗員でしたが、このヘリコプターは非常に信頼性が高く、重い装備を搭載できる頑丈な機体です」と、その堅牢性と搭載量を強調しました。
実際、展示機で最も目を引いたのは、機体左側に搭載された小型ドローンです。担当者によれば、これは対ドローン任務を想定したコンセプト展示で、「特定メーカーの製品ではなく、あくまで運用イメージを示すためのもの」とのことでした。
この展示が興味深いのは、旧式ヘリコプターの新たな役割を提示している点です。大型ヘリであるシーキングは、もともと重い魚雷などを搭載することを前提に設計されており、高い搭載能力と広い機内空間を備えています。そのため、小型ドローンや関連装備を運用するプラットフォームとして活用できる可能性があるのです。
ウクライナ戦争などを通じてドローン兵器が急速に普及したことで、戦場ではドローンを運用・補給・迎撃するためのプラットフォームの重要性も高まっています。こうした変化により、高価な新型機だけでなく、退役した旧式ヘリコプターにも新たな価値が生まれつつあるといえるでしょう。
HeliOpsが示したシーキングのコンセプトは、「古い兵器を延命する」のではなく、「新しい任務を与えて再生する」という、ドローン時代ならではの発想を体現した展示だったといえるでしょう。