【ニューデリー時事】アフガニスタンのイスラム主義組織タリバンが実質的に国を統治してから15日で5年。記者やメディアへの圧力は強まるばかりで、報道の自由は危機にひんしている。一方、国内報道の内容には、タリバンと接近する中国の影響が及びつつある。
「経験豊富なジャーナリストのほとんどが国を去った。メディア業界は質と量の両面で急速に衰退している」。現地のジャーナリスト支援団体幹部(45)は危機感を訴えた。
タリバンは2021年に復権すると、意に沿わない報道をした記者やリポーターを相次いで拘束。その数は少なくとも296人に上るという。同団体も過去に警告や捜索を受けており、この幹部は「タリバンは自らを否定的に描く内容を許さず、記者は自己検閲せざるを得ない」と、萎縮する現場の空気を嘆いた。
特に深刻なのは女性記者が置かれた状況だ。タリバンはイスラム法の極端な解釈に基づき、就労や教育の場から女性を締め出している。メディア業界も例外ではなく、別の団体の調べでは21年以降、女性記者の8割以上が職を離れた。延べ約4年の記者経験を持つ女性(37)は「タリバンから拘束されたり、失職したりするのではと毎日心配している」と語った。
国際ジャーナリスト団体「国境なき記者団」(RSF、本部パリ)によると、タリバンが打ち出した報道規制は20を超える。指導者批判は収監やむち打ち刑の対象となり得る。RSFによる26年の報道自由度ランキングでアフガンは180カ国・地域中175位。20年の122位から急速に悪化している。
そんな中、弾圧で撤退を余儀なくされた独立系メディアの空白を埋めるように中国メディアが影響力を拡大しており、中国に好意的な報道が増えているもようだ。独ライプチヒ大研究員の最近の論文によれば、中国は「広報文化外交」の一環としてアフガンの複数のメディアグループを支援。現地語でのSNS発信も強化している。こうしたメディアに対しては、アフガン国内の貧困や人権抑圧に関する報道を避けているとの批判も上がっている。
〔写真説明〕アフガニスタンで記者会見に参加するジャーナリストら=2日、カブール(EPA時事)