NEXCO東日本管内のバイク死亡事故が急増。2026年上半期で1年分に近い数値に達しています。調べを進めると、原因の異なる事故が、なぜか特定の時間帯に集中していました。
利用率0.4%のバイクが、死亡事故の3割
NEXCO東日本は2026年7月29日、吉岡幹夫新社長による初めての定例会見を開催し、管内における上半期の交通事故状況を公表しました。死亡事故件数は22件23人。前年同期21件22人から増えました。1日あたりの通行台数は303万4000台で、前年同期(2025年1~3月期)比100.7%と利用が上向いていることを考慮すると、下半期で事故抑止が成功すれば、通年で減少につなげることは可能です。
問題は、そのなかで「バイクの死亡事故」が急増していることです。2026年は上半期の半年間で7人に達しています。2025年は1年間で9人でした。
NEXCO3社が全国47料金所で実施した手作業の利用実態調査では、バイクの割合は全体の0.38%しかありません。それが死亡事故全体の30%を占めているという異常事態です。
発生現場別にみると、7件中2件が岩手県内で起きていました。同県内の高速道路の死亡事故は2026年上半期に3人、そのうち2人がライダーだったことになります。前年の同じ時期は、四輪車とバイクともに死亡事故はありませんでした。まずは、この急増の現実を知る必要があります。
「魔の15時台」浮き彫りに
7件の発生時刻を並べると、際立つ偏りに気づきます。
・1月21日21時20分頃=神奈川県・横浜新道下り
・4月15日15時20分頃=岩手県・秋田道下り
・5月3日6時30分頃=東京都・圏央道内回り
・5月14日19時35分頃=岩手県・東北道下り
・5月21日15時35分頃=秋田県・秋田道下り
・5月31日15時40分頃=北海道・道東道上り
・6月6日9時30分頃=千葉県・館山道下り
7人のうち3人が、事故状況はバラバラなのに、発生時間が15時20分から15時40分までのわずか20分間に集中しています。4月15日は後続バイクの追突、5月21日と31日はワイヤロープ中間支柱への接触です。発生地域は岩手・秋田・北海道と離れています。状況も場所も異なる事故が、時間帯だけ揃っています。
労働災害を防ぐ現場では、集中力低下を避けるために15時前後に小休止を設ける慣行があります。早朝に出発して目的地を目指すバイク旅は珍しくありません。そのため夕方の渋滞や夜間走行を避けて帰路につくのが、この時間帯です。睡魔が見舞うこの時間帯に意識的に休憩を挟むことが、急がば回れで高速道路を安全に走る秘訣かもしれません。
7件のうち3件は「対面通行区間」で発生
さらに7人の死亡事故を都道府県警察への取材とあわせて分析すると、大きく3つのパターンに分かれることがわかりました。
1つ目は、転倒や衝突をきっかけに後続車両に巻き込まれたケースです。これが7人中3人。1月21日、横浜新道下り線(横浜市戸塚区)では、追越車線で転倒したバイクに後続の乗用車が追突し、23歳の男性が死亡しました。5月14日、東北道下り線(盛岡市)でも、何らかの原因で転倒したバイクに後続の軽四輪車が追突し、61歳の男性が犠牲になっています。
やや特殊なのが4月15日、秋田道下り線(岩手県北上市)の事故です。対面通行区間で、上り線側の別の事故により散乱した部品を避けようとしたバイクに、後続のバイクが追突する形で転倒し、67歳の男性が死亡しました。こうしたケースでも後続車両には追突を回避する義務があります。岩手県警はこう訴えます。
「何があってもよけられるように車間距離を十分とってもらうことが必要」(高速道路交通警察隊)
2つ目は、原因のわからない単独転倒です。異なる場所ですが、片側1車線の対面通行区間に設置されたワイヤロープの中間支柱への接触による単独事故で2人が亡くなっています。5月21日の秋田道下り線(秋田市)では59歳の男性が、5月31日の道東道上り線(北海道夕張市)では67歳の男性が、いずれもワイヤロープの支柱に接触して横転しました。
3つ目は、車線変更時の直進車に対する側方接触です。このケースで7人中2人が亡くなりました。5月3日、圏央道内回り(東京都青梅市友田トンネル)では追越車線から走行車線へ変更したバイクが別のバイクと接触。6月6日、館山道下り線(千葉県富津市)では走行車線から追越車線へ変更したバイクが乗用車と接触しました。
今や軽四輪車でもサイドミラーの死角を補うサイドセンサー(ブラインドスポットモニター)が普及する時代ですが、バイクでの装着モデルはまだ稀少。特に、高速走行では、車線変更時に実際に首を振って目視確認することが、ライダー自身の身を守るために重要です。
酷暑とも戦わなければならない2026年後半、“帰るまでが遠足”の心づもりで安全走行を!