ついに発売「新・ジムニー5ドア」何が変わった? 受注ようやく再開 「便利」は「タフ」を犠牲に…してなかった!! 悪路でチェック!

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スズキの本格スモールクロカン「ジムニー」の5ドア版として登場した「ジムニーノマド」が、一部仕様変更を受けて受注を再開しました。実用性がアップした一方で、本格オフローダーとしての実力は健在なのか。試乗で検証します。

注文が殺到した「ジムニーノマド」何が変わった?

 スズキ「ジムニー」は、砂漠にも岩場にも臆することのない走破性を誇る本格派のスモールクロカン4WDです。その5ドア版として登場した「ジムニーノマド」は、2025年4月に発売されるやいなや注文が殺到。一時的にオーダーストップとなっていましたが、2026年1月30日に仕様の一部変更を発表したうえで受注を再開しました。

 満を持して7月1日に発売となった最新モデルは、多くのファンが待ち望んだ1台です。しかし、ジムニーノマドはドアが2枚増えて日常シーンでの利便性が高まった一方で、ジムニーの“魂”ともいえる悪路走破性が犠牲になっていないのか、気になる人もいるでしょう。その実力を確かめるべく、公道と特設のオフロードコースで試乗を行いました。

 今回の一部仕様変更における主なトピックは、安全および運転支援システムの充実化です。衝突被害軽減ブレーキが「デュアルセンサーブレーキサポートII」に進化し、車線逸脱抑制機能も標準装備となりました。

 さらに、AT車には全車速追従機能付きのACC(アダプティブクルーズコントロール)が採用され、渋滞時の運転負荷を軽減。新車登録から3年間無料のコネクテッドサービス「スズキコネクト」にも対応し、緊急時のオペレーターサービスや、スマートフォンのアプリからエアコン操作や駐車位置の確認などが可能になり、利便性が大きく向上しました。

 室内装備では、「マルチインフォメーションディスプレイ」がフルカラー画面となり、パワー/トルク表示や交差点案内など、より多くの情報がドライバーに提供できるようになりました。公道で試乗した「FC」グレードの5速MT車には、バックアイカメラ付きのディスプレイオーディオも搭載されており、使い勝手がさらに良くなった点も見逃せません。

ジムニーらしさは健在! 機能美を追求したデザイン

 ノマドに試乗会場で対面した時の第一印象ですが、ボディが3ドアの「ジムニーシエラ」より340mm長い3890mmとなったにもかかわらず、デザインはひと目でジムニーとわかる特徴を見事に踏襲しており、よくぞこの雰囲気を保ったまま5ドアにできたものだと感心させられました。

 見切りの良い直線基調のボディ、丸いヘッドライトと5スロットグリル、そして障害物を乗り越えやすいよう絶妙にカッティングされたフェンダーなど、デザインのすべてが機能に直結しているのがジムニーの魅力です。ただし、ノマドはフロントグリルがガンメタ塗装となっているほか、5スロットグリルにはメッキ仕上げの縁取りが施されるなど、ジムニーシエラと比べて上質な雰囲気をまとっています。

 もちろん、堅牢なラダーフレーム構造もノマドに継承されています。オフロード性能の指標となる3つのアングルのうち、アプローチアングルは36度、デパーチャーアングルは47度と、シエラと同等の数値を確保しています。一方、ホイールベースは全長と同じく340mm長い2290mmとなったため、ランプブレークオーバーアングルだけ23度(シエラは27度)となっていますが、その走破性へのこだわりは健在です。

 そして、ノマドの最大の魅力はやはり後席の利便性でしょう。リアドアが追加されたことで、腰を深くかがめることなくスムーズに乗り降りでき、荷物を持ったままでも楽に後席へとアクセスできるようになりました。

 また後席自体もノマド専用の設計となっており、クッションの厚みはシエラから20mmアップ。背もたれも大型化され、2段階のリクライニング機能も備わっています。膝まわりのスペースも拡大されており、長距離ドライブでもリラックスして座れる快適な空間が確保されていました。

 荷室も段違いに大きくなっています。後席使用時の荷室の奥行きは、シエラより350mmも長い590mmに。筆者(まるも亜希子:カーライフ・ジャーナリスト)は以前、3ドアのジムニーを所有していましたが、3人家族で出かけると荷物が積みきれず、常に後席の片側を倒していました。そのことを思うと、拡大された荷室はノマドの非常に大きな魅力だと感じました。また、後席はそのまま倒すと少し傾斜が残るものの、オプションのラゲッジボックスを装備すれば、フルフラット化も可能です。

乗って驚き! 5ドア化は“走り”にも好影響?

 ここまで日常シーンでの実用性アップについて紹介しましたが、では肝心の走行性能はどうでしょうか。まず一般道を走り出すと、重心の高さを感じさせない安定性に驚きました。これはホイールベースの延長のほか、センタークロスメンバーの追加による剛性アップ、サスペンションの最適化などが効いているようです。

 とくに後席の乗り心地は特筆もので、路面の継ぎ目を乗り越えた際の収まりが良く、不快な微振動が巧みに抑えられています。ノマドはフレームと車体をつなぐボディーマウントゴムを大型化しているとのことですが、その効果は絶大で、ドライバーには路面状況をしっかり伝えつつ、後席は快適そのものでした。

 そして、今回の試乗のハイライトといえる本格的なオフロードコースに挑みます。ここではダート路面の急な坂道や、車体が大きく傾くモーグル路など、数々の難所を思い切り走行しました。

 しかし、4人乗車でも不安を感じる場面は一切なく、特にモーグルでの走破性の高さは圧巻でした。ノマドは、シエラなら片輪が浮いてしまうような場面でもしっかりと路面を捉え、ここで試乗したATモデルで1210kgという軽さを活かして、スイスイと乗り越えていきました。このコースでは以前、よりパワフルで重い他社の4WD車をテストしたこともありますが、むしろノマドのほうがより安心感があるとさえ思いました。

 結論として、ノマドがドアを2枚増やしたことで犠牲にした“ジムニーらしさ”というものは、ほぼ無いと言っていいでしょう。1、2人で乗るなら軽モデルのジムニーや登録車のジムニーシエラ、3、4人で乗るならノマドと、明確に棲み分けができていると感じました。ユーザーが「憧れ」と「日常」のどちらかを我慢することなく、ライフスタイルに合わせて自分にぴったりのジムニーを選べる時代が来たようです。