熊本地震で迂回路になった東九州道、走ってみたら…「PA満車!」「給油所がない」「追い越し不可!」浮き彫りになった課題

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令和8年熊本地震による九州道寸断を受け、迂回路となった東九州道。交通量が急増し、平日のPAが「見たことのない満車状態」になるなど異例の事態となっています。実際に現地を走り、見えてきた実態と課題をレポートします。

平日のPAが「見たことのない満車状態」に

 2026年7月28日に発生した「令和8年熊本地震」の影響により、九州自動車道や南九州自動車道の熊本県内区間を中心に、広い範囲で通行止めが続いています。

 九州の大動脈が寸断され、物流や生活交通に大きな支障が出るなか、国土交通省とNEXCO西日本は東九州自動車道(東九州道)を活用した広域迂回を呼びかけています。そこで震災直後の31日、筆者(伊藤洋平:ライター・カメラマン)が東九州道を実際にクルマで走ってみたところ、普段とは明らかに異なる交通の流れと、長年指摘されてきた「東九州道の課題」を確認することができました。

 走行したのは、東九州道(上り線)の佐伯(さいき)ICから別府湾SAまでの区間です。佐伯ICから上り線(大分市方面)に入ると、ここからが有料区間となります(下り線は延岡南ICまで無料区間が継続)。上り線に入ってまず感じたのは、普段に比べて大型トラックの数が明らかに多く、交通量全体が増加しているという点です。

 最初の休憩施設である「佐伯弥生PA」に立ち寄ると、平日にもかかわらず駐車枠はほぼ満車という異例の光景が広がっていました。普段は閑散としている印象の強い施設ですが、この日は九州道の通行止めを避けて迂回してきた大型車両がズラリと並んでいました。

 この佐伯弥生PAは、2019年に供用開始された比較的新しい施設ですが、トイレと自動販売機のみが設置された簡易型のパーキングエリアです。実は、2019年のオープン以前は川南PA(宮崎県)から松岡PA(大分市)まで約150kmにわたり休憩施設が存在しませんでした。

 2026年現在でも、佐伯弥生PAから南の川南PAまでは約115km、無料区間にある「道の駅 北川はゆま」を考慮しても約50kmものあいだ、休憩施設がない状態です。なお、佐伯弥生PAの下り線側は現在も事業途中であり未供用です。こうした「休憩ポイントの少なさ」は、長年東九州道の課題とされてきました。

コンビニ店員も驚愕「平日にこんなに混むのは初めて」

 佐伯弥生PAを後にし、松岡PAを目指して北上します。宮河内(みやがわうち)ICまでの区間は「暫定2車線(対面通行)」が続きますが、ここでも交通量は普段より明らかに増えていました。

 車列には久留米、福岡、鹿児島といったナンバーを付けた大型トラックが連続して走行しており、渋滞こそ発生していないものの、平均速度は60~70km/h程度に抑えられていました。

 道中、路肩に故障車が停車していましたが、小型車だったため徐行で問題なく通過できました。しかし、もし大型車両が同様のトラブルを起こした場合、車幅の狭い対面通行の2車線区間では「即通行止め」につながる恐れがあります。迂回交通の急増は、道路管理上のリスクを確実に高めていると感じさせられました。なお、下り線側も佐伯ICから宮崎PAまで対面通行の2車線区間が長く続いています。

 大分市内に位置する「松岡PA」に到着すると、ここも平日の昼間とは思えないほどの駐車車両で埋め尽くされ、枠外に停車する車まで見られました。

 松岡PAは2001(平成13)年に供用開始され、長らくトイレと自動販売機のみの施設でした。しかし、別府湾SAから川南PAまで約180kmにわたって売店が存在しない状況を解消するため、2023年にようやく上下線へコンビニエンスストアが設置された経緯があります。

 コンビニのスタッフに話を聞くと、「地震の直後から一気に交通量が増えました。平日にこれほど駐車場が混み合うのは初めて見ます。大型トラックの利用が非常に多く、遠回りして走られるドライバーの皆さんの大変さが伝わってきます」と語ってくれました。九州の物流ラインが東九州道へ大きくシフトしている実態が、現場の声からも裏付けられました。

「ガソリンスタンド空白地帯」と「4車線化」早期完了への課題

 松岡PAを出て別府湾SAへと向かう区間は、完成4車線で整備されているため、交通の流れは非常にスムーズでした。

 別府湾SAには18時頃に到着。ここでは大きな混雑こそ見られなかったものの、やはり大型車の駐車台数は普段より目立っていました。この別府湾SAには給油所(ガソリンスタンド)が併設されていますが、ここから下り方向(宮崎市方面)へ進んだ場合、約180km先の川南PAまで給油所が存在しません。災害時の燃料確保や長距離迂回の観点からも、東九州道のサービス機能拡充は大きな課題と言えるでしょう。

 東九州自動車道は、福岡県北九州市から大分県・宮崎県を経由し、鹿児島県姶良市(加治木JCT)に至る計画延長約469kmの高速道路です。1989(平成元)年に日出JCT〜別府IC間が開通して以来、九州の太平洋側を縦断する大動脈として整備が進められてきました。

 九州道や南九州道の復旧には相応の時間を要する見通しで、当面は東九州道を活用した広域迂回が続くことになります。今回の地震により、九州全体の高速道路ネットワークの脆弱性が浮き彫りとなりました。

 現在も各所で進められている「4車線化事業」の早期完了や休憩施設の拡充など、災害に強い道路網の構築が今まさに求められていると、実際に走ってみて強く感じました。