超豪華フェリーついに「置き換え」へ 乗り通せば“40時間”の日本最長航路で21年 太平洋フェリー

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名古屋~仙台~苫小牧を結ぶ太平洋フェリーで、3隻のうち1隻の代替船計画が進んでいます。旅客需要がコロナ前を上回るなか、どのような新船が登場するのでしょうか。

豪華フェリー3隻体制 それぞれに個性

 名古屋港―仙台港―苫小牧港を結ぶ国内最長約1330kmの定期航路を運航する「太平洋フェリー」で、新造船の計画が進められています。2005年1月に竣工した「きそ」(1万5795総トン)の代替で、船内設備のグレードは既存船と同等クラスのものを用意しつつ、乗船客に優雅なクルーズライフをより楽しんでもらえるよう、現代に合わせて進化したものになると予想されます。

 太平洋フェリーの航路には「きそ」をはじめ、2011年3月に竣工した「いしかり」(1万5762総トン)、2019年1月に竣工した一番の新鋭船「きたかみ」(1万3694総トン)の大型フェリー3隻が就航しています。

 基本的には名古屋―仙台―苫小牧航路に「きそ」と「いしかり」が、仙台―苫小牧航路に「きたかみ」が投入されています。建造ヤードは3隻共に三菱重工業下関造船所ですが、過去には内海造船などに発注したこともあります。フェリー1隻の運用期間はだいたい20年から30年で、コンスタントにリプレースを行ってきました。

 白を基調に青いラインが入った爽やかな外観の塗装は全船共通していますが、船内は船ごとに沿った異なる内装が施されています。「きそ」は「南太平洋のリゾートホテル」、「いしかり」は「エーゲ海の輝き」、そして「きたかみ」は「SPACE TRAVEL」をイメージしており、実際に乗ってみると全く違うことがわかると思います。

 太平洋フェリーは他船社に比べて旅客スペースを充実させています。「きそ」と「いしかり」にはバスタブ付きの特等と、シャワー付きの1等が60室以上設けられ、いずれもホテルの客室と変わりない快適さを誇っています。これだけの充実した客室設備を持っているのは、長距離フェリーの中でも太平洋フェリーだけです。

 このほかビュッフェスタイルのレストランと大浴場、軽食を提供するスタンドコーナー、そして、国内のフェリーでは唯一ライブショーを行う専用の劇場「シアターラウンジ」などが設けられています。

“ホテル的使い方”にうってつけなダイヤ

 運航ダイヤも旅客の利便性を意識して組まれています。

 一般的に内航フェリーの長距離航路は貨物輸送の比率が高く、トラックの配送スケジュールに合わせて動くため、夜遅く出発し、朝早く到着するようになっています。

 しかし太平洋フェリーの仙台―苫小牧航路の場合、仙台を出港するのは19時40分で、苫小牧に入港するのは翌午前11時。反対に苫小牧を出港するのは19時で、仙台に入港するのは翌午前10時です。夕方に乗船して十分な休息を取り、午前遅くに目的地へ到着できるため、フェリーを観光地のホテルのように利用するにはうってつけのダイヤとなっています。

「約15時間という所要時間は、夕方に乗船して『一晩しっかり寝ている間に目的地に到着する』というタイムスケジュールを実現します。移動時間=睡眠時間となるため、日中の活動時間を一切犠牲にしません。到着後すぐにビジネスや観光にフルパワーで立ち動ける点が最大のメリットです」(太平洋フェリー)

 同社の貨物と旅客の比率はおおむね7対3で推移していましたが、コロナ禍以降は、マイカー利用者を中心に同社の旅客需要は目覚ましい回復を見せ、現在はコロナ前を上回る勢いで伸び続けています。

名古屋-仙台も伸びている! 新造船はどうなる?

 近年の傾向として、名古屋―仙台航路の利用が旅客・貨物共に増加していることが挙げられます。名古屋―苫小牧を通して乗れば約40時間かかりますが、そうした旅客も増えており、日によっては個室が全て埋まっているほどです。

 名古屋―仙台間の所要時間は約21時間40分。北行きの場合、名古屋を19時に出港した船が仙台に到着するのは翌日夕方の16時40分です。南行きは仙台を12時50分に出港し、名古屋には翌朝の10時30分に到着します。

 仙台-苫小牧のダイヤと比べると決して日中観光がしやすいスケジュールではありませんが、太平洋フェリーによれば「目的地への移動だけでなく船旅そのものを楽しむことを目的に選ぶお客様が増え近頃大きく利用が増加」しているとしています。

 太平洋フェリーは自社の航路について「時間や体力を節約しながら、船上での優雅なひとときや太平洋の雄大な景色を楽しめる究極の『スマートトラベル』」を実現すると説明。中京圏と東日本、北海道間の物流を支えつつ、2泊3日から3泊4日程度で完結できる気軽なショートクルーズを楽しめる機会を設けることで、若年層の利用を増やしていく方針です。

 現在、資機材価格や原油価格などが上がり、船価も大きく上昇していることから、内航船には厳しい経営環境が続いています。それでも太平洋フェリーは新造船の整備に取り組もうとしています。

 同社は「現『いしかり』や『きそ』が築き上げた当社のアイデンティティやカーフェリーとしての使命を受け継いだ、進化した素敵な船を造りたい」とコメント。豪華フェリーの最先端を走ってきた太平洋フェリーの新しい船がどのような形になるのか、期待が高まります。