都内で飲酒運転による死亡事故が急増しています。事態を重く見た警視庁は、期間限定で飲酒検問を増やすなどの応急対策に乗り出しました。
一斉検問→出るわ出るわの飲酒運転
東京都内で飲酒運転がらみの死亡事故が相次いでいます。2026年はすでに6人が犠牲になっていて、1年間で2人だった昨年から急増しました。
これを受けて、警視庁は7月31日から8月9日までの10日間、飲酒運転根絶に向けた応急対策を実施します。飲酒検問を都内全域で強化するとともに、警視庁交通総務課の公式SNSを通じて危険性を訴える方針です。
なぜ飲酒運転がらみの死亡事故が増えているのでしょうか。背景には飲酒運転そのもののハードルが下がっていることがあるとみられます。
その裏付けが、7月3日から4日にかけて都内全域で実施された管下一斉飲酒検問の結果です。酒気帯び運転違反は31件。そのうち23件は自転車によるものですが、四輪車(2件)、原付バイク(1件)、原付電動キックボード(2件)、特定小型原付(3件)と、車種を問わず飲酒運転が摘発されました。
検問はアルコールチェッカーによる呼気検査が中心ですが、この日の一斉飲酒検問では、あわせて無免許、信号無視、一時不停止、横断歩行者妨害なども検挙されています。認知・判断能力の低下が、ほかの違反を誘発している可能性もうかがえます。
今年に入って死亡事故6件、歩行者も犠牲に
警視庁がまとめた2026年の飲酒死亡事故の概要は次のとおりです。死亡者(車)と事故の相手の順で記載します。
1月3日・土曜日(品川区)=二輪車と物件
1月19日・月曜日(江戸川区)=普通乗用車と物件
1月28日・水曜日(江東区)=歩行者と普通貨物車
4月19日・日曜日(渋谷区)=普通貨物車と物件
6月13日・土曜日(北区)=二輪車と普通貨物車
7月26日・日曜日(江東区)=歩行者と普通乗用車
6件のうち2件は歩行者が犠牲になっていて、飲酒による判断力低下が、事故を招くだけでなく、被害の重大化につながっている可能性があります。
数値明確して“厳格化”で是正なるか
飲酒運転をめぐっては、2007年の道路交通法改正で、運転自体の罰則が大幅に引き上げられたほか、飲酒運転を知っていた同乗者、お酒を提供した人など、飲酒運転にかかわる関係者にも、運転者と同等の罰則が設けられました。この厳罰化で飲酒運転は減少傾向をたどりましたが、近年は横ばいが続いています。
さらに、2026年7月21日には、自動車運転死傷処罰法が改正され、飲酒による危険運転致死傷罪に、呼気1リットル中0.5mg以上の数値基準が盛り込まれました。これを超える運転者の事故は、一律で危険運転とみなされることになりました。
道路交通法も改正され、酒気帯び運転に処罰法と同じ数値が盛り込まれ、酒酔い運転の境界線が明確になりました。ただし、この改正の主眼は、いわゆる酒に強い人であっても、飲酒運転は危険運転にあたることを明確化した点にあり、抑止力そのものを狙ったものではないと考えられます。
警視庁は応急対策の実施に向けて、「飲酒運転は悪質・危険な犯罪行為」とした上で、「乗るなら飲まない、飲酒運転をしない、させない心がけを」と呼び掛けています。法制度の整備は進む一方、依然として飲酒運転が後を絶たない実態が、今回の応急対策の背景にあります。