想像以上に「馬」でした…! ヒトが乗る“四つ脚”の新モビリティ、カワサキが披露 「ハンドルもブレーキもつけません」

AI台頭「SaaSの死」は本当か?

川崎重工業が、まるで生き物のような四足歩行モビリティ「CORLEO(コルレオ)」の開発構想を明らかにしました。ライダーの動きを読み取って動くという、これまでの乗りものの概念を覆すかもしれないその中身は、どのようなものなのでしょうか。

関西万博にもいた「アイツ」の未来像

 川崎重工業は2026年7月28日、「SAFE ADVENTURE事業」の報道向け説明会を東京都大田区のHaneda Innovation Cityで開催しました。これは、関西万博でも展示された四足歩行モビリティ「CORLEO(コルレオ)」に関するもので、具体的な開発方針や今後の展開予定について発表されました。

 CORLEOは、ヒトが馬のように搭乗するイメージが示されているモビリティです。かんたんに言えば「タイヤで行けない所に行く」ことを想定して開発が進められています。説明会では、SAFE ADVENTURE 事業総括部の総括部長である天辰 祐介氏と特別首席の上野 高廣氏が登壇。天辰氏は開発の裏側を次のように語ります。

「CORLEOの製作にはクレイモック(粘土でのモデル)も使用しました。通常ロボットの設計ではこの工程は不要なのですが、『人が乗る』からこそ、スケッチワークを起こし、次にクレイモックを手掛けることになりました。神戸大学の馬術部員を招待し、実際に搭乗した際の意見を参考に調整を行っています」

 会場にはモックアップのCORLEOが展示され、参加者は実際にまたがることができました。しっかりと両足で機体をホールドする必要があるなど、確かに馬に近い感覚でした。

操縦は「ライダー次第」 ブレーキもハンドルもなし!

 このCORLEOの最も驚くべき点は、その操縦方法にあります。天辰氏によれば、ステアリング(ハンドル)もブレーキも「現状付ける予定はありません」とのことです。

「例えば自転車やバイクでは、ジャンプするなら人間(ライダー)がジャンプし、乗り物が飛びます。この『人間のジャンプする挙動』をCORLEOが読み取ってジャンプする仕組みを開発しています」(天辰氏)

 ライダーの動きや荷重配分を検知するユニットを開発中で、足をかける鐙(あぶみ)の部分にも伸縮する仕組みとセンサーを搭載する予定だといいます。まさにCORLEOと乗り手がシンクロするように動く、「良くも悪くも(馬のような)『ライダー次第』の乗りもの」を目指しているそうです。

AIとシミュレータが支える「完璧な地面」

 CORLEOは全身にセンサーを装備し、AIが走行時の挙動を補正しながら動く仕組みです。動力は発電用の2ストローク303cc水素エンジンとバッテリーによるハイブリッド駆動を予定。

 この複雑な動きを支えるのが、最先端の開発体制です。凍結路面や崩れる斜面といった荒れ地を仮想空間上で再現し、四足歩行をシミュレート。ライディングシミュレータの開発も進められています。

「石や岩、砂を物理演算のまま動く空間をシミュレートし、オフロードコースを走れるようにデータを取る必要があります。そのためには『完璧な地面』を再現しなくてはいけない」と天辰氏はいいます。

 この壮大な取り組みは、エヌビディア社と協力し、自前の「Kawasaki Physical AI Center San-Jose」を活用して進められているとのことです。こうして蓄積されたデータは、同社の他の脚部搭載ロボット開発にも活用されるといいます。

2035年にはテーマパーク化も構想

 川崎重工は、CORLEOの壮大な将来像も描いています。まず2030年のリヤド万博で「歩行」できるモデルを披露し、2035年にはテーマパークのような施設でCORLEOのアトラクションが楽しめる場を用意する構想です。

 このテーマパーク構想には、収益確保だけでなく、より重要な目的があると会場スタッフは話します。

「『コントロールされた不整地』を作り出し、実環境での走行データを蓄積していく目的があります。多様な現実の路面でも問題なく走行でき、事業者向けのカスタマイズモデルを用意する足がかりとなります」

 説明会では、参加者がCORLEOにまたがった後、思わず機体を撫でて可愛がる光景が印象的でした。これに先立ち、天辰氏は講演の最後を次のように締めくくりました。

「『足が生える』と、結構な人がその機械に愛着を持ちます。なので、将来的にスマホなどでIDを発行・ログインし、自分だけの乗り味に調整された『私だけのCORLEO』のデータを紐付けられるシステムについて構想中です」