【ロンドン時事】英与党・労働党の穏健左派バーナム党首が首相に就任して1週間が過ぎた。地方分権推進を唱えるバーナム氏は、首都機能の一部移転に乗り出し、国民生活に直結する施策を立て続けに発表。変化をアピールした「バーナム効果」(英メディア)で党の支持率は上向くが、蜜月期間が終われば厳しい視線が注がれるのは必至で、改革実現へ即時の行動を迫られる。
バーナム氏は24日、イングランド北西部マンチェスター市に設置した「ナンバー10・ノース(北の首相官邸)」に初登庁した。名称は、所在地から「ダウニング街10番地」と呼ばれるロンドンの首相官邸にちなむもので、バーナム氏は約260キロ離れた北の首相官邸に毎週通って執務を行う計画。地方分権や地域経済発展に関わる政府機能の一部がロンドンから移管される予定だ。
新政権はこのほか、電気料金の付加価値税(VAT)撤廃やバス運賃の上限引き下げなどを矢継ぎ早に発表。23日には「労働者階級の文化を守る」(同氏)ため、パブ経営者らへの減税計画も明らかにし、庶民に寄り添う姿勢を強調した。
非営利団体「モア・イン・コモン」の最新世論調査では労働党の支持率は24%で、首位の右派ポピュリスト政党リフォームUKに2ポイント差に迫った。両党の差は昨年4月以降最小。別の調査でも同じ傾向が示されている。
だが、2024年総選挙で地滑り的勝利を果たしたスターマー前政権も滑り出しは順調だった。不祥事などですぐに支持率が低下。浮揚の足掛かりがないまま2年余りで退陣を余儀なくされた。苦しい財政事情を抱えながら経済回復などの難題に直面する状況は、バーナム氏も同じ。29年までに行われる次期総選挙に向け支持基盤の強化を図るには、国民が実感できる成果を着実に上げていくしか道はない。
〔写真説明〕バーナム英首相=24日、マンチェスター(AFP時事)