新東名と中央道を結ぶ三遠南信自動車道で、事業中の3つの道路の事業費が増額される見通しです。
新東名~中央道むすぶ「三遠南信道」で事業費増額
中央道と新東名高速を南北に結ぶ高規格道路「三遠南信自動車道」。長野県飯田市と静岡県浜松市のあいだ約100kmのうち、2026年3月に愛知県内で新規区間が開通し、新東名側は約28kmが1本につながるなどしています。
こうしたなか、建設中の3つの工区の進捗と、事業費の増額される見通しであることがわかりました。長野県側の「飯喬道路」(22.1kmのうち未開通部7.5km)、県境をまたぐ「青崩峠道路」(5.9km)、静岡県側の「水窪佐久間道路」(14.0km)の3区間です。
●飯喬道路
飯田市の飯田上久堅・喬木富田ICから「矢筈トンネル」の入口となる喬木ICまでの7.5kmが未開通です。2025年度末時点で用地取得率は100%、事業進捗率は約90%となっています。
マニュアルの改定に伴う作業ヤードの仮設方法の変更、地権者との調整難航による残土処分場の変更、また物価上昇などを理由に58億円の増額となりました。現在は改良工、上部工、下部工を推進しています。
●青崩峠道路
長野・静岡県境の難所を貫く「青崩峠道路」(5.9km)では、2023年5月に青崩峠トンネル(仮称)が貫通し、現在はトンネル内の設備工事に着手しています。ただ、岩塊処理の追加、ロードヒーティングなどの積雪時の安全対策、一部工法の変更などが発生。合計で129億円と3工区の中で最も大きく増額となりました。
2025年度末時点の進捗としては用地100%、事業全体では約91%となっています。現在はトンネル設備工に着手しています。この区間は現道の国道152号が「車両通行不能区間」となっており、並行する林道への迂回を強いられるため、かねて開通が熱望されています。周辺は中央構造線を通過することから地盤が脆弱で、過去に掘られたトンネルも一般道へ格下げになるなどしており、道路地図に「あまりの崩落の激しさに日本のトンネル技術が敗退」などと書かれた難所です。
●水窪佐久間道路
新東名からの既存開通区間の延長部となる「水窪佐久間道路」(延長14.0km)は2019年度に事業化した最も新しい区間で、まだ大々的な工事が始まっていません。現在は用地買収や調査設計が進められており、2025年度末時点で用地の進捗率は約70%、事業全体としては約5%となっています。
それでも、65億円の増額となります。こちらの要因は主に「物価上昇」によるもので、コンクリートや労務単価の上昇がトンネル・橋梁工事費を押し上げた形です。この区間も現道の国道152号が極めて狭く脆弱な区間です。
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山深い三遠南信道の沿線は複数の車両通行不能区間、脆弱な区間を抱え、地域が“秘境”を自称するほど厳しい地域です。そこを貫く高規格道路には、防災の強化、救急医療施設への搬送時間短縮、リニア中央新幹線開業後の観光活性化など、多くの効果が期待されています。費用便益分析(B/C)では、事業全体で1.3、未着手区間などの「残事業」に限ると2.8と、投資に見合う効果があると評価されています。
とりわけ、事業進捗率が90%を超えている飯喬道路、青崩峠道路に関しては、長野県が「一日も早い開通と 開通見通しの早期公表をお願いします」と要望しています。