日本の国旗を傷つける行為を禁じる国旗損壊処罰法案が9日の参院内閣委員会で実質審議入りした。与党は今国会中に成立させる方針だが、処罰対象となる行為はなお不明確だ。線引きが曖昧なままでは社会活動の萎縮を招きかねず、野党から批判が強まっている。
自民、日本維新の会、国民民主、参政4党が提出した法案は、処罰対象を「著しく不快または嫌悪の情を催させる方法」による損壊と規定する。「著しく不快」について、法案提出者は「一般通常人を基準とし、社会通念に照らして判断する」と説明するが、具体的な基準は明確ではない。
自民はストーカー規制法の条文を参考に法案を作成。「主観的だ」との指摘に対し「既存の法律にならった文言だ」などと反論してきた。ただ、同規制法の「著しく不快または嫌悪の情を催させる物の送付」を禁じた規定は、前段に「汚物、動物の死体その他の」といった例示があり、処罰対象がイメージしやすい。国旗損壊処罰法案にはそうした例示はない。
自民の勝目康氏は9日の答弁で「国旗を損壊する方法はさまざまな態様が考えられ、例示を明記することはしていない」と説明した。立憲民主党の鬼木誠氏は「何が処罰対象になるのか分からない」と問題視。共産党の山添拓氏も「恣意(しい)的な判断によっていくらでも広がり得る」と懸念を示した。
先の衆院審議で異論が噴出したため、与党側は具体例をまとめた資料を提示した。それによると「燃やす」「切り刻む」「勢いよく踏みつけて泥だらけにする」行為などが該当する一方、「新品の靴で踏み、何ら不潔にすることがない場合」は該当しないという。
9日の審議では、この妥当性も問われた。自民の塩崎彰久氏は該当しない例について「それぐらいはいいと考えられるのではないか、という一つの整理だ」と訴えたが、立民の塩村文夏氏は「理解するのは難しい。古い靴でも汚れなければOKなのか、いろんな疑問が出てくる」と語り、溝は埋まらなかった。
〔写真説明〕国旗損壊処罰法案が実質審議入りした参院内閣委員会で答弁する自民党の松野博一氏(中央)=9日、国会内