日本代表に長友佑都は必要だ! ピッチで示した“圧倒的熱量”…王国ブラジル撃破へ「戦略を持って冷静に」「まあ見ててください」

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 ラウンド32の対戦相手はブラジルか、モロッコか、それともフランスか……。日本代表の動向を左右する大一番となったのが、FIFAワールドカップ2026 グループF組最終戦のスウェーデン代表戦だった。

 森保一監督が「まずは勝利を目指し、そのうえで1位通過できれば一番いい」と語っていた通り、指揮官は上田綺世や鎌田大地、伊藤洋輝ら連戦のメンバーを数多く先発に起用。本気で勝ちにいこうとしていた。その狙い通り、序盤から日本は粘り強い守備とハードワークを披露。3-4-3に布陣変更してきたスウェーデンのロングボールやリスタートからの攻撃に手を焼きながらも、前半をスコアレスで折り返すことに成功する。途中でキャプテン・板倉滉が違和感を訴え、前半39分に交代するというアクシデントに見舞われたものの、谷口彰悟が巧みなリカバリーを見せたのも大きかった。

 そして迎えた後半には丁寧な組み立てから堂安律のスルーパスを受けた前田大然が値千金の先制弾をゲット。首尾よく1点を手に入れる。これを守り切れればよかったが、わずか6分後に進境著しいスピードスター、エランガに同点弾を奪われた。試合は1−1のまま終盤に突入。ここで指揮官は思い切った采配を見せる。ここまで2試合出番のなかった39歳の大ベテラン・長友佑都を呼び寄せ、中村敬斗と交代。左ウイングバックに据えるという決断を下したのだ。

「(同組1位の)オランダが勝っている状況で、我々もオランダ以上に得点を奪ってスウェーデンに勝ちたいというところはありましたけど、そう簡単に勝たしてもらえない中、自分たちの戦い方が崩れないように。かつ、そこから攻撃に繋げていくという狙いで長友を起用しました」。指揮官はこう説明したが、日本としては1−1を維持しつつ、機を見てゴールに迫り、勝利をつかみに行くような展開に持ち込みたかったのだろう。そこでワールドカップ5大会連続出場の高度な経験値が生きると確信。長友をピッチに送り出したのだ。

 長友は左ウイングバックに陣取ると、攻守両面のバランスを取りながら、チーム全体に落ち着きをもたらそうとした。目の前には同点弾のエランガがいて、彼に仕事をさせないことを徹底しなければならなかったが、それを確実に遂行。「ウチにも速い選手がいるんで。いつも(伊東)純也とか(堂安)律、塩貝(健人)とマッチアップしているんで、全然ビビらなかったですね」と本人は2022年カタール大会クロアチア代表戦以来の大舞台をかみしめながら、躍動感を体いっぱいで表現した。

 欲を言えば、もう少し攻撃でチャンスを演出したかったが、終盤はスウェーデンの空中戦の応酬で自陣に押し込まれ、耐え忍ぶ展開を強いられた。後半アディショナルタイムには2度の決定機を作られ、鈴木彩艶がスーパーセーブを連発。何とかドローで逃げ切ることができた。そうやってチーム一体となって勝ち点1を確保できたのも、“長友投入効果”に他ならないだろう。本人も一応の安堵感を覚えたに違いない。

 だが、本当の勝負はここから。彼は参戦した過去4回のうち、2010年南アフリカ、2018年ロシア、2022年カタールと3度、決勝トーナメントに進出しているが、そのハードルを一度も越えられていないからだ。「決勝トーナメントになってくると勢いだけじゃダメなんですよね。それを痛感したのがロシアW杯のベルギー戦です。2−0になって、チームとしてクローズできる状況があったにも関わらず、そこで裏返された。向こうは戦略的に高い選手(マルアン・フェライニ)を入れてきましたし、全て準備していたことだった。それをピッチで体験した僕は『戦略を持って冷静に戦うべきだ』と後輩たちに伝えたいですね」と背番号5は8年前の苦い経験を踏まえ、日本としての勝利の道筋を明確に打ち出していく必要性を強調した。

 いわゆる“ロストフの悲劇”と言われる衝撃的逆転負けの場には、長友のみならず、今回サポートプレーヤーとして帯同している吉田麻也も、長谷部誠コーチも、森保監督もいた。「なぜ日本はベルギーに勝てなかったのか」という命題を彼らはそれぞれに検証し、突き詰めてきたはずだ。その苦い過去を踏まえつつ、日本代表は強豪相手にも勝てるチームを積み上げてきた。その蓄積を次戦で存分に発揮すること。それしか王国撃破の道はないだろう。

 天下分け目の大一番で長友がピッチに立つ可能性は低いかもしれない。それでも長友にできることは数多くある。決勝トーナメントの壁に阻まれ続けてきた経験、冷静に熱く戦えるマインドの重要性を仲間たちに伝えることは大きな仕事の一つだ。今季UEFAカンファレンスリーグ制覇を成し遂げた鎌田大地のような存在もいるため、強豪相手にもブレる心配はないが、やはり次戦は本当に特別な一戦。多少の重圧や緊張感も覚えるかもしれない。それを解きほぐし、日本が持つ全ての力を出し切るように、長友が仕向けてくれれば、本当に世界中を驚かせる結果を残せるかもしれない。

「まあ見ててください。楽しい、素晴らしい試合を見せますよ」と背番号5は不敵な笑みを浮かべたが、その言葉通りの最高のゲームを日本代表には期待したいところ。森保体制8年間の集大成にふさわしい戦いを心待ちにしたいものである。

取材・文=元川悦子

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