皇族数確保に向けて政府がまとめた皇室典範改正案の要綱に対し、野党だけでなく連立与党の日本維新の会からも批判や注文が相次ぐ事態となっている。衆参両院がまとめた「立法府の総意」とのずれへの不満が広がっているためで、「総意」は看板倒れとなりつつある。
「要綱は取りまとめ(総意)に沿ったものと判断し、了承することとした」。25日の与野党代表者との全体会議後、森英介衆院議長(自民出身)は付帯決議による補足を前提に、要綱は「了承」されたと記者団に説明した。
ただ、全体会議は満場一致とは程遠い状況だった。立憲民主党の長浜博行参院議員は、旧宮家の男系男子を養子として皇室に迎える内容に「国民の理解、安定性、伝統の観点から採用することは極めて困難だ」と反対を明言。「失望せざるを得ない。立法府の総意がまとめられたとは認識していない」と強く反発した。
要綱は養子の対象を15歳以上に限定しているが、維新の藤田文武共同代表は「選択肢の幅を狭める」と主張。維新は全体会議での賛否を留保し、週明けの29日に党内で対応を協議することになった。
一方、婚姻後も身分を保持する女性皇族に対し、要綱が「住民基本台帳法を適用する」と明記したことについて、国民民主党の玉木雄一郎代表は24日の記者会見で「全体会議で議論していない」と疑問を呈した。
野党には夫と子も皇族とするよう求める声があったが、住基台帳法の適用は与党などの主張に沿って「一般国民」として扱おうとしているように受け取れる。「総意」は夫と子の身分には触れておらず、住基台帳法に関する記述もなかった。立民ベテランは「家族は一体であるべきだ」と改めて訴えた。
共産党の小池晃書記局長は25日の記者会見で「立法府の総意はフィクションだ」と述べた。
自民内の議論を主導してきた麻生太郎副総裁は25日の麻生派会合で「何としても今国会で典範改正を成し遂げたい」と呼び掛けた。政府・自民は、首相が「典範改正を目指す」と宣言したことも踏まえ、月内にも改正案を閣議決定し、今国会中に成立させる方針だ。
ただ、皇室典範改正を巡る現状について、ある自民幹部は「とても静謐(せいひつ)な環境とは言えない」と認めた。与野党から異論が相次ぐ状況に、政府内からは「全然すんなりといかない」(関係者)と嘆き声が漏れた。
〔写真説明〕皇族数確保に関する与野党の「全体会議」=25日午後、東京・永田町
〔写真説明〕与野党代表者との「全体会議」後、記者団の取材に応じる森英介衆院議長(中央右)、関口昌一参院議長(同左)ら=25日午後、東京・永田町