還流再開後のみ不記載認定=秘書との具体的やりとり重視―裏金事件

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 東京地裁で23日言い渡された元参院議員大野泰正被告(67)らに対する判決は、一度中止が決まった政治資金パーティー収入の還流が再開した2022年分の不記載のみを有罪と認定した。再開決定後に大野被告と元政策秘書岩田佳子被告(62)との間で交わされたやりとりを重視した。
 裁判では、当時の自民党最大派閥「清和政策研究会」(旧安倍派)を巡り、22年4月に一度中止された還流が再開に至るまでの経緯が明らかになった。
 同派の会計責任者だった松本淳一郎元事務局長(78)=有罪確定=は昨年9月に証人出廷した際、還流再開を要望したのは下村博文元政調会長だったと証言した。
 今年1月に行われた被告人質問で大野被告は、還流の中止と再開が決まった22年、世耕弘成元参院幹事長から「2度の連絡があった」と説明。1度目は中止決定を、2度目は再開を伝えられた上で、今後は還流分を議員側の収入に付け替えるよう説明を受けたと述べた。
 岩田被告も松本元事務局長から同様の説明を受け、大野被告に報告。大野被告が地元秘書に相談するよう指示した結果、事務所が主催するセミナーの収入として計上することになったという。被告人質問で岩田被告は「(大野被告は)特段何も言わなかった印象で、了承してくれていると思った」と述べた。
 判決は「収支報告書に記載しないための具体的な方策についてやりとりした」と認定。「虚偽記入の共謀を遂げたと認められる」と結論付けた。
 一方、18~21年分については「黙示的な意思連絡があった」とする検察側主張を退け、「記載義務の認識がなかった」と判断した。
 政治資金に詳しい日本大の岩井奉信名誉教授(政治学)は「共謀について検察側の立証が不十分だったのではないか」と指摘。その上で、一連の事件について「抜本的に変えていかなければ再び繰り返される」と語り、収支報告書のデジタル化など透明性の確保が必要だとした。