「日曜の夕方でも満車なの…?」 一度は寂れた温泉地が「ザ・昭和」のまま劇的復活! その“令和らしい理由”を実感した

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寂れたとも言われた温泉地が、近年人気を取り戻しています。その復活の背景には何があるのでしょうか。実は“自然発生的”な理由だと実感しました。

駐車場は満車、石段街は若者でいっぱい

 いったんは寂れたと思われた温泉地にあらためて注目が集まり、来訪者が増えているというニュースを耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。その典型例として取り上げられることが多い静岡県の温泉地「熱海」は、東京からの近さが再注目され、来訪者数が一転して右肩上がりとなっています。

 もうひとつ、熱海と並び、近年人気を集めている温泉地があります。それは群馬県の「伊香保」です。

 伊香保は群馬県渋川市の西部、榛名山の中腹に広がる温泉地です。群馬県は“温泉県”ですが、伊香保はそのなかでも東京方面からもっとも近く、アクセスのしやすさが特徴です。山の中腹にあるというその立地から、街並みは斜面に沿って広がり、象徴的な「石段街」が街の中心を貫いています。

 しかしこの伊香保も、コロナ禍前には廃業した宿泊施設が“廃墟状態”になっていると伝えられるなど、街の雰囲気はけっして明るいものではありませんでした。では、伊香保はどこがどう変化したのでしょうか。2026年5月下旬、現地を訪ねてみました。

 訪ねたのは日曜日の夕方、ふつうの観光地ならもう客足が引きはじめる時間帯です。しかし石段街に近い市営駐車場は軒並み満車で、駐車場と石段街を結ぶ道には多くの人が行き交っています。規模の大きな「第1駐車場」のスタッフにこの日の混雑具合を聞くと、「今日はまだ少ないほうですね。日曜日のこの時間でも、ここが満車になることがあります」という答えでした。

 駐車場から石段街までは、歩いて2〜3分ほどです。石段の最下段では、2021年に設置された「IKAHOモニュメント」があり、撮影の順番待ちが出るほど賑わっています。石段街に足を踏み入れると、目立つのは若者のグループやカップルで、昭和の面影を残す街並みをバックに、スマホで自撮りしています。

「射的」という“装置”

 この石段街でとくに“レトロ感”をイメージさせるのは、何軒もある「射的屋」です。その店構えは、まさに“昭和そのまま”です。昭和を知る50代以上には懐かしく、より若い世代にはレトロに映るのでしょう。どのお店でも幅広い年齢層のお客さんが玉の行き先に一喜一憂していました。

 しかし以前の石段街と大きく異なると感じたのは、通りに面して数多くの飲食店が軒を連ね、「食べ歩き」を楽しむ人の姿が目立ったことです。その食べ歩きも、ご当地名産の「温泉まんじゅう」や「玉こんにゃく」だけでなく、都心のカフェでテイクアウトするようなカップ入りのドリンク、そしてハーフサイズの「水沢うどん」までさまざまです。

 こうした光景を見ると、食べ歩きの様子や、レトロな街並みのなかで撮影した“映え写真”がSNSにアップロードされ、それを見た人が伊香保に興味を持ち、足を運ぶという好循環が生まれているように感じられます。

サクッと旅行した気になれる満足感!

 石段街の周辺には日帰り入浴も可能な温泉施設があります。さらに石段街を外れると昼からお酒が楽しめるお店も見られ、「明るいうちに温泉に入り、湯上がりにお酒を楽しむ」という過ごし方も可能です。

 つまり「わざわざ泊まらなくても楽しめる温泉リゾート」という手軽さに加え、昭和レトロな街で「射的の結果に一喜一憂する」「食べ歩きの楽しさを共有する」といった“コト体験”の提供が、この伊香保の“復活劇”の大きな要因になっているのでしょう。

 その復活劇を強く後押しするのが、伊香保の“遠すぎない距離感”です。クルマを使う旅行であれば、関越道をちょっと降りて立ち寄ることができるロケーションですし、クルマがなくても東京駅、新宿駅などから高速バスでのアクセスが可能です。それだけでなく、八王子、吉祥寺、千葉などから高速バスの新規就航も相次いでいます。

 東京方面だけでなく、群馬県内からのアクセスの良さも見逃せません。県庁所在地の前橋市や、最大の人口を誇る高崎市からは、クルマですぐの距離です。また高崎駅からは直通路線バスの「伊香保ライナー」(約1時間、運賃大人2000円)や、一般の路線バス(1時間半弱、運賃大人1330円)も運行しています。

 この夏から秋、関越道方面にドライブする予定がある人は、昭和レトロな“映え”と食べ歩きが楽しめる伊香保への立ち寄りを、プランに組み込んでみてはいかがでしょうか。