佐伯耕三内閣広報官がX(旧ツイッター)を駆使し、高市早苗首相の日々の動きを積極的に発信している。各国首脳と談笑する姿や首相が打ち出した政策の説明など、硬軟織り交ぜて政権の下支えにつなげたいようだ。ただ、広報官として異例の取り組みで、野党からは忖度(そんたく)批判も出ている。
「議長のマクロン大統領が首脳たちを歓迎しました」。佐伯氏は15日からフランスで開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット)の会場で、マクロン氏と握手する首相の写真と共にこう投稿した。
佐伯氏のXは1カ月の試行期間を経て、2日から本格的に運用。「広報官が近くから見る首相の姿など、柔軟にタイムリーに発信を行う」(佐伯氏)のが狙い。外国出張で日本メディアでは取材が難しい場面の書き込みも少なくない。フォロワーは13万人を超え、2万件以上の「いいね」が付く投稿もある。
佐伯氏は2017年、42歳の若さで安倍晋三首相(当時)の秘書官に就任し、スピーチライターを担った。同じ経済産業省出身の今井尚哉氏に高く評価され、前任者より入省年次が14年若い抜てき人事だった。局長級ポストを経ずに次官級の広報官に就いたのも異例だ。
ただし、佐伯氏の投稿には懸念もくすぶる。中傷動画問題について記者団から問われた首相が「だるっ」とつぶやいたとの情報が拡散した際には、「首相にも確認したところ、次の日程があるため『ちょっと大丈夫かな』でした」と書き込んだ。立憲民主党の蓮舫参院議員はXで「その説明、大丈夫?」「忖度は国民のためにならない」と疑問を呈した。
佐伯氏は首相に関する報道に反論することもある。自民党中堅が「タイムリーに反論するのはいいこと」と評価した一方で、政府高官は「炎上するとまずい」と語った。
木原稔官房長官は19日の記者会見で「多くの反響を得ている。これまでにないさまざまな投稿を試みて、効果的な情報発信に努めることが重要だ」と後押しした。
〔写真説明〕佐伯耕三内閣広報官が本格運用を始めたX(旧ツイッター)アカウント(内閣広報官のXより)
〔写真説明〕フランス東部エビアンでの先進7カ国首脳会議(G7サミット)に際し、マクロン大統領(左)の歓迎を受ける高市早苗首相(佐伯耕三内閣広報官のXより)