これが日本で一番「値崩れしないバイク」なの!? 中古で新車価格超えも 一体なぜそんなに高いのか?

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バイク選びの重要な要素のひとつが「リセールバリュー」ですが、リセールの良いモデルは必ずしも人気車や知名度の高いモデルとは限りません。なぜ、そこまで有名でないモデルが高いリセールバリューを維持しているのでしょうか。

認知度低めのX-ADVがリセールバリューナンバーワンに

 40年近く数多くのバイク、クルマに乗ってきた筆者(松田義人、ライター・編集者)ですが、なんらかの理由で手放す際の「リセールバリュー」は様々でした。人気や劣化が理由で定価の1割の価格で売ったこともあれば、ボロボロなのに定価以上の価格で販売できたこともあります。

 そんな経験を重ねると、新しいバイクやクルマを購入する際には、「いつかリセールすることになった際、この個体は、どれほど値崩れするのだろうか」ということが、嫌でも頭をよぎります。そのため、リセールのことも視野に入れて、購入するバイク、クルマをチョイスしているわけですが、昨年「バイク未来総研」が発表した「第55回『リセール・プライス』ランキング」のトップ5は以下の通りでした(※)。

●5位 ホンダ・ADV160
●4位 ヤマハ・MT-09 SP ABS
●3位 ホンダ・CRF1100L Africa Twin Adventure Sports ES DCT
●2位 ホンダ・CRF1100L Africa Twin Dual Clutch Transmission
●1位 ホンダ・X-ADV

<出典:「バイク未来総研」発表「第55回『リセール・プライス』ランキング」>
※国内主要4メーカーが、国内で販売しているバイク(2025年5月末現在・逆輸入車除く。新車販売価格は2026年2月末現在の価格を基準。カラー等により価格が複数ある場合は最安値を基準に算定。モデルチェンジが実施された場合は、最新モデルのみを対象。期間内に、バイク未来総研独自の規定台数に達する流通があるバイクが対象。

 トップ5のうち、4車種もホンダ製がランクしているのは、やはり認知度の高さと信頼性があるからでしょう。また、マニアの評価や認知度が高い一方で、流通量がそう多くないモデルはリセールバリューが高めになる傾向はありますが、ここでの1位のホンダ・X-ADVというのは少々マニアックともいえるモデルのため、正直意外でもありました。

イタリアのホンダが手がけた無骨な745ccスクーター

 X-ADVは745ccのビッグスクーターで、2017年に初代が発売されました。SUVスクーターとも呼ばれ、イタリアのホンダR&D が手がけた無骨で力強いデザインや、道具のように扱えるタフさでコアな人気を誇っています。

 もちろんホンダならではの信頼性の高さも魅力です。最新機能満載で、クラッチレス+ボタン変速も可能なDCTを搭載しています。伸びのあってトルクフルな走りと乗り味と合わせて見れば、確かに万能で質実剛健です。

 ただし、ヨーロッパでは絶大な支持を受けている一方、日本での知名度はイマイチで、庶民や一般ユーザーの認知度は低いという印象でもあります。これは慢性的なパーツ供給不足などが影響し、日本国内向けの供給車両が圧倒的に少ない影響でしょう。実際、ホンダの年間販売計画台数もわずか700台となっています。

 そして、その新車価格は145~148万円台。昨今の乗りものの高騰ぶり・高排気量・高性能であることを踏まえれば当然の価格ですが、庶民にはなかなか高額なバイクにも感じます。

 これらの「海外で評価されるモデルの汎用性の高さ」「日本国内の流通量の少なさ」「庶民には手が出しにくい新車価格」などが複合的に合わさり、リセールバリューが極めて高いモデルになっているというわけです。

 つまり、「ヒットしたバイク」が必ずしも「リセールバリューが高い」とは限らず、むしろ「認知度は薄くとも、なんらかの評価でコアな人気を誇るバイク」「しかも個体数が圧倒的に少ないバイク」こそが、値崩れしないモデルになる、と言って良いのではないでしょうか。

 近年、X-ADVを新車オーダーしても「納車まで1年以上かかった」例もあるようで、「数年間乗ったX-ADVを売却したところ、定価以上の値で売れる」というケースも珍しくないようです。実際、現在の中古車市場のX-ADVの平均価格はなんと「新車価格を上回る」事態にもなっており、そのリセールバリューはあまたあるバイクの中でも群を抜いて高いモデルとなっています。

 なかなかお目にかかれない希少性と、他車にない万能な魅力が詰まったX-ADV。これから先の価格動向からも目を離せません。