労働者の「派遣料金」の引き上げでカルテルを結んだ疑いが強まったとして、公正取引委員会は2日、独禁法違反(不当な取引制限)容疑で、パーソルテンプスタッフ(東京都渋谷区)など都内の人材派遣大手5社を立ち入り検査した。関係者への取材で分かった。
公取委による人材派遣業界への立ち入り検査は初めてという。公取委は自社の利益を確保する目的だったとみて調べる。
他の4社は千代田区のスタッフサービス、リクルートスタッフィング、アデコ、港区のマンパワーグループ。
関係者によると、各社は2022年11月ごろ、派遣料金を引き上げることで合意した疑いが持たれている。
派遣料金は、派遣元が労働者を派遣した先の企業から受け取る料金。一般社団法人日本人材派遣協会ホームページ(HP)などによると、内訳は派遣労働者の取り分となる給与が7割を占める。残る3割は派遣元のマージンで、社会保険料や募集広告などの諸経費、派遣労働者の有給費用を含むほか、利益は1.2%ある。
カルテルによる派遣料金の引き上げは、派遣労働者の待遇改善ではなく、マージンの比率を多くし自社の利益確保が目的だったとみられている。公取委は入手した資料を分析するとともに、担当者から聞き取りをするなどして実態解明を進める。
協会HPによると、21年度の派遣労働者は約142万人で、全雇用者に占める割合は2.5%。市場規模は04年の製造業解禁以降、拡大し、20年度は約8兆6000億円に達した。