「ジャパントラックショー2026」に出展した日野自動車は、大型トラック「プロフィア」の燃料電池車「プロフィア Z FCV」をはじめとした4台を展示しました。
日野自動車が提示する「持続可能なミライの物流」
2026年5月14日~16日に開催された「ジャパントラックショー2026」は、トラックメーカー、架装メーカー、タイヤ・ホイールメーカー、IT関連など、物流・トラックに関する多種多様な業種がパシフィコ横浜(横浜市)に集まり、大きなにぎわいを見せました。
「人、そして物の移動を支え、豊かで住みよい世界と未来に貢献する」ことを企業使命として掲げる国内大手トラックメーカーの日野自動車は、展示テーマ「持続可能なミライの物流」のもと、広い面積のブースを設置。物流にまつわるさまざまな課題の解決に貢献する製品や技術などを実車の展示を介して紹介しました。
車両は、大型トラック「プロフィア」の燃料電池車「プロフィア Z FCV」などの電動車とディーゼル車を各2台、計4台を展示しました。
水素で走る! 量産型・燃料電池大型トラック「プロフィア Z FCV」
プロフィア Z FCVは、カーボンニュートラルおよび水素社会の実現に貢献するべく、日野とトヨタが共同開発した燃料電池大型トラックです。2023年の「ジャパンモビリティショー2023」でプロトタイプを初披露し、前回の「ジャパントラックショー2024」でも展示が行われています。
トラックの電動化は着実に進んでいますが、大型の純EV(BEV)トラックでは、長い航続距離の確保が困難であること、重たいバッテリーを搭載するために最大積載量が減少すること、そして充電時間が長くなることなど、いくつかの課題を抱えています。
そこで日野は、幹線輸送向け大型トラックに必要な航続距離、積載量、短時間での燃料供給というハードルを越える解決策として、水素を燃料とする燃料電池車(FCV)に着目しました。
このような経緯で開発されたプロトタイプのプロフィア Z FCVは、アサヒグループジャパン、西濃運輸、トヨタ、NEXT Logistics Japan、ヤマト運輸の物流業務で走行実証を行い、のべ走行距離40万kmを超える実績を重ねてきたといいます。
そしてついに国内初の燃料電池大型トラック量産モデル「プロフィア Z FCV」が、2025年秋に発売されました。
高圧水素を50kg充填(じゅうてん)可能な70MPaの高圧水素タンクをキャビン後部と床下に6基搭載し、航続距離は650kmをマーク。最大積載量は11.6t(仕様による)を確保しています。なお展示された日野プロフィア Z FCVでは、矢野特殊自動車製の予冷機能付き高断熱試作保冷バンが参考として架装されていました。
大排気量エンジン搭載の「プロフィア」ダンプ
プロフィアはもう1台、6×4のダンプを展示。一見すると特に変わったところはないように見えますが、搭載されているパワーユニットが排気量12.9リッターで460psを発生する直6エンジン「E13C型」なのが大きなポイントです。
というのもE13C型は2022年のエンジン認証不正問題により型式指定取消処分を受けてカタログから消えていたのですが、市場からのリクエストは多数寄せられていたといいます。
そこで日野は排出ガス規制への適合申請を行い、2025年11月に3年10か月ぶりに出荷再開を発表。ダウンサイジングエンジンでは得難い、大排気量がもたらす豊かなトルクを望んでいたユーザーには朗報といえるでしょう。しかも新たに12段AMTの「Pro Shift 12」が組み合わされ、さらなるイージードライブを実現しています。
「デュトロ」最新モデルと、多目的EV「モバイルオフィス」の提案
ブースにはさらに2025年7月に改良を受けた最新の「デュトロ」と、EVトラックの「デュトロ Z EV モバイルオフィス」が並べられました。
前者は「ヒノノニトン」というCMでおなじみの、ワイドバリエーションと快適性、豊富な装備を誇る小型トラックです。
特に安全装備はたいへん充実しており、交差点や見通しの悪い場所で起きやすい「出合い頭の事故」などを抑制する「サイトアラウンドモニターシステム(SAMS)」、衝突回避支援・被害軽減ブレーキシステム「PCS(プリクラッシュセーフティ)」、前向き駐車の際などで誤発進を防ぐ「前進誤発進抑制機能」を標準装備。さらに最新モデルでは、平ボディーの完成車には「後退誤発進抑制機能」も搭載して、安全性能をさらに向上しています。
なお最新型のデュトロでは、新たに4WDとオートマチックトランスミッションの組み合わせを設定。幅広い需要に対応しています。展示されたデュトロは、まさにその仕様が選ばれていたほか、参考展示として内外装のカスタムが提案されていました。
デュトロ Z EV モバイルオフィスは、すでに宅配便などでの活躍が見られるデュトロ Z EVをベースに、荷室内に座席とテーブルを設置した簡易的なオフィスを構築したモデル。
ドライブシャフトを取り去ったことで生まれた超低床構造と、運転席から荷室内へ移動できるウォークスルー機構を利用した応用例として製作されました。
日野では、災害時には行政窓口やオフィスの支援拠点として、移動式の医療相談拠点として、移動販売車として、キッズルームや授乳室として、そして移動トイレなどでの活用を想定しており、すでに反響や問い合わせも来ているとのことです。
デュトロ Z EV自体も最大1500Wの100Vアクセサリーコンセントを装備するため、業務用電気製品やモバイル機器などに電力供給が可能です。緊急時のみならずEVの特徴を最大限生かせる、新しいモバイルオフィスのコンセプトといえるでしょう。
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今回のジャパントラックショーはいつになく全体的に熱気があふれ、出展者も来場者も元気だった印象がありますが、日野のブースも活気に満ちており、新たな胎動を感じさせました。次回のジャパントラックショーでは、どのような提案を見せてくれるでしょうか。