ガルパン最終章PVでもちょっと登場! 新たな“戦車の基準”を作った「センチュリオン」とは? 他の戦中車両とは一線を画す存在

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現代戦車は「主力戦車」と呼ばれています。英語でも「Main Battle Tank」です。重戦車や中戦車はどこにいったのでしょうか。

ガルパン最終章のPVでチラ見えした戦車 実は戦後基準の車両?

 2 2026年5月12日、アニメ映画『ガールズ&パンツァー 最終章』第5話の特報PVが公開されました。同作は、戦車を使った武道「戦車道」が女子のたしなみとされる世界を舞台にしたオリジナルアニメです。

 一応、競技に参加できるのは「第二次世界大戦終結までに開発・生産された実在の戦車を使う」というルールがあるようで、それ以降の戦車は使用されません。そのなかで最も新しい部類に入るのが、今回のPVにもわずかに登場した「センチュリオン」です。同戦車は、前作『ガールズ&パンツァー 劇場版』でも、ライバルキャラクターの島田愛里寿が車長を務める強敵として、主人公・西住みほたちの前に立ちはだかりました。では、一体どのような点が優れているのでしょうか。

 実は「センチュリオン」は、第二次世界大戦までの戦車運用思想をさらに発展させた戦車となっています。それは後の時代、現在にまで続く戦車カテゴリーである「主力戦車」、海外でいう「Main Battle Tank(メイン・バトル・タンク)」、略して「MBT」の第1号ともいえる存在だったのです。

 第二次世界大戦中、戦車は軽戦車・中戦車・重戦車・歩兵戦車・騎兵戦車・巡航戦車・駆逐戦車など、さまざまな種類に分類されていました。この、よく言えば「多種多様」、悪く言えば「種類が多すぎる」状況の統一化を図ろうとしたのがイギリスでした。

 もともとイギリス陸軍は、戦車同士の戦闘を想定した機動戦向きの「巡航戦車」と、重装甲で歩兵を援護する「歩兵戦車」という二系統に分けて戦車を開発していました。しかし、この考え方は大戦が始まると、多くの問題を抱えていることが明らかになります。

 巡航戦車は機動力こそ高かったものの装甲が薄く、戦車砲も急速に進化するドイツ戦車を相手にするには力不足でした。一方、歩兵戦車は重装甲・重火力を備えていましたが、その反面、自重が大きすぎて速度が出ず、機動力を活かした戦闘ができないという欠点がありました。そのため、機動戦を主体とする戦闘には十分に対応できなかったのです。

 そこでイギリス軍は、大戦後期にこれら二種類の戦車の長所を融合し、重装甲・重火力・高機動性を兼ね備えた、新型戦車の開発に着手しました。巡航戦車と歩兵戦車、それぞれの特性を両立させようとしたのです。

 それが、1943年後半から開発計画がスタートした、当時「A41重巡航戦車」と呼ばれていた「センチュリオン」でした。

重武装で軽快な動き! 両立させた戦車が登場!?

 重巡航戦車は、優れた特性を兼ね備えた戦車を開発するといっても、それを支える強力な動力がなければ実現は困難でした。そこでイギリス軍は、ロールス・ロイス製の「ミーティア」エンジンを採用します。このエンジンは、航空機用の「マーリン」エンジンを基に開発された高出力エンジンで、それまでイギリス戦車が搭載していたエンジンの倍以上の出力を誇りました。この強力な動力により、重装甲・重火力・高機動性という、巡航戦車と歩兵戦車の特性を両立することが可能となったのです。

 試作型として開発された車両は、当初の狙いどおり、巡航戦車のような軽快な走行性能を持ちながら、17ポンド砲を搭載し、ドイツの重戦車「ティーガーI」とも正面から戦える火力と装甲を備えていました。

 こうして1945年4月、従来は複数の戦車が分担して担っていたさまざまな任務を、一両でこなすことを理想とした万能戦車「センチュリオン」が誕生します。同年には最初の6両が生産され、後に「主力戦車(MBT)の元祖」とも呼ばれる車両が姿を現したのです。

 しかし、量産開始直後にドイツが降伏したため、「センチュリオン」は第二次世界大戦で実戦投入されることなく終戦を迎えました。ところが、その後の朝鮮戦争や中東戦争、印パ紛争などで高い性能を実証します。

 この「センチュリオン」を起点として、戦後の東西冷戦下では「第1世代主力戦車」と呼ばれる車両群が各国で開発されていきました。

 なお、正式に「Main Battle Tank(MBT)」という呼称が用いられるようになったのは、1960年代に登場したイギリス戦車「チーフテン」が最初とされています。しかし、それ以前から万能戦車としての性能を備えていた「センチュリオン」は、さかのぼって第1世代主力戦車に位置づけられています。

 一方、戦後に東側陣営の大国となったソビエト連邦でも、機動力を保ちながら重戦車並みの高火力を誇ったドイツの「パンター」中戦車に対抗するため、新型戦車の開発が進められました。その過程で、開発中に車体以外の設計が陳腐化していたT-44を発展させる試みが行われます。

 その結果、優秀と評価されていたT-44の車体に、強力な100mm戦車砲を搭載したT-54が戦後に完成しました。この戦車は当初、中戦車として分類されていましたが、「センチュリオン」と同様に、重装甲・重火力・高機動性を兼ね備えた高い汎用性を持っていました。そのため、改良型であるT-55とともに、冷戦期における東側陣営の第1世代主力戦車と見なされています。

 ちなみに、『ガールズ&パンツァー 劇場版』では、センチュリオンはIV号戦車とティーガーIの2両を同時に相手取る戦車戦などでクライマックスを演出しました。新作『ガールズ&パンツァー 最終章』第5話では、どのような役どころを担うのか注目されます。