米中交渉、イラン情勢で変調=首脳会談控え駆け引き

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 【ワシントン、北京時事】米イスラエルによる対イラン軍事作戦で、米中両政府の交渉が変調を来している。米政権はイランに対する金融制裁を強化して終結に近づけたい考えだが、その矛先は原油を購入する中国にも向かう。長期化に伴って米側の対中戦略に狂いが生じる半面、中国はしたたかに弱みを突く構えを崩さない。首脳会談を前に駆け引きが続いている。
 「広範な関係や会談での合意を損なうものになってほしくない」。グリア米通商代表部(USTR)代表は、中国のイラン産原油購入が首脳会談の議題となる可能性に触れ、こう漏らした。
 米政権はイランを資金面で「窒息させる」(ベセント財務長官)狙いで圧力を強める。イラン産原油の購入を理由に中国の石油精製大手に制裁を科したほか、銀行2行には金融取引に関与した場合、2次制裁を科すと警告した。
 一方、中国商務省は今月、国内外の企業や銀行が米制裁に従うことを禁じると表明。制裁を「不当だ」と批判し、一歩も引かない姿勢だ。
 ただ、国内景気が冷え込む中、会談を前に米国との対立激化は避けたいのも本音。米メディアによると、中国当局が国内大手行に対し、米制裁の対象となった企業への新規融資を一時止めるよう求めた。北京では「米国が措置をさらにエスカレートさせない限り(大手行は)当面目立った取引を控えるだろう」(エネルギー関係者)といった見方も出る。
 米政権はイランに最大限の経済的圧力をかける方針だが、米中関係の安定化も図りたい考え。制裁の実効性を高めるため、イランと関係の深い中国に協力を求めたい思惑もある。
 中東情勢悪化を受けて中国の対米交渉力は相対的に高まり、こうした「弱み」が取引材料に利用される懸念は拭えない。米国が譲歩を迫られる可能性もありそうだ。