互いをあだ名で呼び、会話はため口―。斬新なルールで意見交換する「ギャル式ブレスト」が企業などの会議で導入されている。発案者はCGOドットコム(東京都渋谷区)代表のバブリー(本名・竹野理香子)さん(29)。導入は約120件に上り、「直感やポジティブさといったギャルマインドを通じアイデアの幅も広がれば」と話す。
「それアゲだね!」「ヤバいめっちゃいい!」。3月末、食品メーカー「味の素AGF」(同区)本社であった新商品に関する会議で、ギャル式ブレストが活用された。鮮やかなピンクのパーカーをまとったり、ハート型のチークをしたりしたCGOスタッフが参加者の発言に即座に相づちを打ち、質問を投げ掛けて議論を盛り上げていた。
ブレストでは(1)あだ名で呼び合う(2)ため口で話す(3)役職や肩書は公開しない(4)5分以上沈黙しない(5)お気に入りの私服を着る―という五つのルールがある。立場を気にせず自由な意見交換が可能といい、体験した味の素AGFの50代女性社員は「普段とは全く違う世界に来た感じ。楽しく議論できた」と笑顔で話した。
バブリーさんが思い付いたきっかけは、学生時代の経験だ。進学校に入ったが両親らに良い大学に行くため勉強するよう言われ、「自分の人生が決められている」と感じて不登校に。やりたいことが見つからない中、地元・甲府市から家出し、大阪にたどり着いた。
そこでギャルと初めて会い、言動に衝撃を受けた。「ギャルたちは価値観を自分で決め、それをファッションで表現していた。自分の意見を持ち、力強さを感じた」。
中退して通信制高校に入り、卒業。「ギャルのように自分の軸や直感を大切にしたポジティブな考え方を広めれば、社会変化を起こせるかもしれない」。都内の大学に進み、在学中にギャル式ブレストを発案。2022年5月、CGOドットコムを立ち上げた。
導入実績は大手企業や自治体など約120件に上り、新規事業開発などで活用されている。約2年前からは、アイデアの創出から実現までを伴走支援する「ギャル式スタジオ」の事業も始めた。
「世の中には役職や肩書を演じている人が多い」と話すバブリーさん。「形式張った話し合いは人と人との距離を遠ざけてしまう。バイブス(感情や雰囲気)を積極的に伝え合い、その人の『仮面』を取ることで、アイデアの幅を広げていきたい」と力を込める。
〔写真説明〕味の素AGF本社での会議で実施された「ギャル式ブレスト」=3月31日、東京都渋谷区
〔写真説明〕インタビュー取材に答えるCGOドットコム代表のバブリー(本名・竹野理香子)さん=3月18日、東京都渋谷区