「二次加害防止」、被害者9割要望=捜査当局聴取で「なぜ逃げない」―性犯罪アンケート調査

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 「なぜ逃げなかった」「男をあさりに行ったんだろう」―。性犯罪被害者が、警察官や検察官の事情聴取でこのような言葉を掛けられ、苦しむケースが後を絶たない。被害者を対象としたアンケート調査で、9割以上が捜査当局による「二次加害」の防止を望んでいることが分かった。
 調査の発起人で元検事の田中嘉寿子弁護士は、「被害者心理への理解を深める取り組みが必要だ」と訴えている。
 調査は昨年10~12月、性犯罪に遭った経験のある人を対象に、被害申告時の状況や捜査当局の対応などをオンラインで尋ねた。有効回答は603人で9割は女性だった。
 今年3月に公表された調査結果によると、警察、検察の聴取では、それぞれ6割前後の被害者が「不満、違和感がある」と回答。「担当者が性暴力被害者の心理を理解していないように感じた」「対応に恐怖や不安、絶望を感じ、話したいことを話せなかった」などの理由が上位を占めた。「二次加害防止や適正処罰」の要望は約93%に上った。
 自由記述では、被害者らの悲痛な声が多く寄せられた。「『なぜ逃げなかったのか』と責められ絶望した」「『なぜ被害当日警察に来なかったのか』と性被害を疑問視された」―。
 田中さんは、このような発言が相次ぐ背景として、被害者心理への理解が浅い現状を指摘する。「被害後に発症する心的外傷後ストレス障害(PTSD)は知っていても、被害の最中の心理は知らない人が多い。『抵抗できたはず』などという誤った前提で考え、責める質問につながる」と強調する。
 「なぜ」と容疑者を追及する取り調べを、被害者にも当てはめてしまうことも背景にあるという。「捜査員が悪意なく、誠実に聴いたつもりでも、さらに傷つける結果になる」と話す。
 当局側も、性犯罪被害者を招いた研修を開催するなど取り組みを進めているが、田中さんは「規模は限定的で不十分だ」と指摘。「模擬取り調べなど、被害者心理への理解を深める研修を義務付けるべきだ」と訴える。
 今回の調査は、準強制性交罪に問われた元大阪地検検事正の部下で、被害を訴えている元検事の女性=4月末に辞表提出=の支援チームが実施。田中さんは女性の代理人を務めており、調査結果は法務省などに提出するという。 
〔写真説明〕インタビューに答える田中嘉寿子弁護士=3月11日、大阪市中央区