もしかして新幹線最強!? N700系列なのに全然違う「実力派」7000番台の魅力とは パワーも座席も一味違った!

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山陽・九州新幹線のN700系7000番台は、東海道・山陽新幹線のN700系とは異なる特徴を多く持つ、個性派の車両です。性能面でも「新幹線最強」と呼ぶにふさわしい実力を秘めています。

同じN700系でも違う顔

 東海道・山陽新幹線のN700系は2007(平成19)年に製造が始まり、2013(平成25)年に改良型のN700A、2020(令和2)年にフルモデルチェンジ車両のN700Sへと進化を重ねてきました。

 N700系は、500系で実現した最高速度300km/h運転と、700系と同じ定員を両立し、それまでの新幹線には見られなかった高い起動加速度、曲線走行時の車体傾斜システムを搭載した完成度の高い形式です。

 2025年、山陽新幹線に8両編成バージョンが登場。そして2026年秋には完全個室を1編成につき2室導入、2027年度にはグリーン車として運用している10号車に半個室席を6席導入する計画があり、これからも大きく変化する形式といえます。

 N700系のうち現状で一番個性的なのは、九州新幹線を走るN700系7000・8000番台と、西九州新幹線を走るN700S 8000番台でしょう。

 その中で今回は、2011(平成23)年に登場した九州新幹線用のN700系7000番台(8000番台はJR九州保有で、ほぼ同じ仕様)を取り上げます。

 山陽新幹線を走るN700系の外観は白に青帯ですが、7000番台は白藍色の車体に、青磁のような輝きをまとっています。これはデザインコンセプトとして「『凛』――日本の美しさ・力強さ、りりしさを表したもの」です。帯も濃藍色と金色を組み合わせたもので、濃藍色は「力強さと速さ」、金色は「品格とプレミアム感」をイメージして選ばれました。

新幹線トップクラスの走行性能

 特筆すべき点は、まず走行性能です。九州新幹線には最大35パーミルの急勾配区間が存在するため、7000番台はオリジナルのN700系と異なり全電動車編成となっています。8両編成の編成出力9760kWは、もし16両編成なら1万9520kWに相当します。通常のN700系は編成出力1万7080kWですから、1両あたりの出力は単純計算でも約14.3%高いわけです。

 これは、同じく全電動車編成である500系16両編成(W1編成)の1万8240kWを上回ります。優れた加速力を考えても、新幹線の中でもトップクラスの走行性能を有しているといえます(特別なダイヤが組まれているわけではありませんが)。

 車内デザインはJR九州とJR西日本が協力しています。インテリアテーマは「『和』と『寛』――品格ある洗練された居住空間」で、通常のN700系より使用されている色数が多いのが特徴です。

 2+3列の普通車自由席はN700系と同じですが、2列側が茜(あかね)色、3列側が縹(はなだ)色で、表面には市松模様が施されています。座席幅は3列側の中央席のみ460mmで、他は440mmです。

 デッキの仕切り壁には若桜調の木目張りが用いられ、床面は石畳み風の石目柄です。

 普通車指定席は、700系「ひかりレールスター」で好評だった2+2列配置を踏襲。濃い菜種色に、日本の山並みをイメージした遠山紋をアレンジした紋様が施され、華やかながらも落ち着いた色合いです。背面テーブルや肘掛けに朱桜色の木材を採用され、高級感を演出しています。床面は自由席と同じく、石畳み風の石目柄です。

 座席幅は460mmですが、肘掛け幅が広いこともあり、数値以上のゆとりを感じます。中間肘掛けは跳ね上式なので、例えば夫婦と未就学児での利用では、使い勝手の良い車両といえます。自由席とは異なり、ドリンクホルダーもあります。

 着座感は無理のない堅実な設計です。枕やフットレスト、レッグレストはありませんが、普通車であることを考えるなら最高レベルの座席といえます。

ここまで違う、N700系7000番台のグリーン車

 グリーン車は、2+2列の普通車指定席との差別化を図るために、オリジナルのN700系グリーン車には見られない装備が「てんこ盛り」で、現時点では「N700系列で最高のグリーン席」といえます。配列は2+2列ですが、全部で6列、わずか24席のみの半室構造でプレミアム感があります。

 座席部分は平織生地を使い、花唐草模様の入った濃藍色。消臭効果のある素材が使われています。絨毯は紫紺色をベースに、通路部分には金色の花唐草模様が入り、座席部分は濃淡で市松模様を表現するなど、細部まで凝ったデザインです。

 木材の多用は指定席よりも顕著で、肘掛先端やインアームテーブル、手すりや荷棚の縁に「古代桜」調の木材が使われ、高級感を演出しています。

 壁面には、鹿児島側はJR九州デザイン顧問の水戸岡鋭治氏、新大阪側はJR西日本デザイン顧問の木村一男氏がそれぞれ手掛けたパネルが張られています。

 座席間隔は、同じ2+2列配置の普通車指定席より広い475mm(480mmという資料も)。他のN700系には存在しない「枕」と「レッグレスト」があります。全展開した時の快適性は非常に優れており、「グリーン車とグランクラスの中間」と感じられるほどの差があります。なお、オーディオ装備も当初備わっていましたが、2013(平成25)年で取りやめられています。

 電源は、普通車は窓側と前後部の壁面、グリーン車は全席設置です。

 航空機との競争では、やや苦戦を強いられている九州新幹線ですが、設備の快適性という意味では、2026年現在の新幹線の中でも上位にあると感じます。

 恐らく7000番台も近い将来、置き換えが進むと思われますが、現状で完成度が高く、進化の余地は普通車全席コンセント設置くらいしかないのではないかと感じる形式です。