「指示たった4回」でミサイル発射! 超ハイスペック無人戦闘機、パイロットの役割すら変える驚異の自律っぷりとは

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ボーイング・オーストラリアが開発する無人戦闘機MQ-28「ゴーストバット」は、AIによる自律制御で飛行します。昨年の試験では空対空ミサイルを発射し、標的の撃墜に成功。その指示内容は、驚くべきものでした。

世界でもっとも開発の進んだ無人戦闘機

 近年開発が進む無人戦闘機は、戦闘機の戦い方そのものを変える存在といえます。その無人戦闘機が“どの役割を担うのか”を実証した試験が行われました。

 ボーイング・オーストラリア(以下、ボーイング)が開発しているMQ-28「ゴーストバット」は、昨年の試験において空対空ミサイルで標的を撃墜しましたが、その際に機体に与えられた指示はたったの4つだったそうで、あとはすべてが機体内のAIと自律制御によって行われたというのです。

 人の乗らない戦闘機が未来の戦場においてどのように戦っていくのか――。今回の試験は、それを具体的に示したものだったといえます。

 MQ-28は2025年の12月に標的に対して中距離空対空ミサイルAIM-120「アムラーム」を発射し、これを撃墜することに成功しました。

 試験ではオーストラリア空軍の F/A-18F「スーパーホーネット」戦闘機が目標を探知・追尾し、 E-7「ウィッジテイル」空中管制機が全体を管制。MQ-28はネットワーク機能を使って目標の情報を受け取り、その情報を元にミサイルを発射し標的を撃墜したのです。有人機が「目」と「司令塔」を担い、無人機が目標に接近して攻撃を行う――。従来は1人のパイロットが担っていた役割を複数の機体で分業化し、そこで無人戦闘機がどのように使われるかを実証した試験といえます。

 MQ-28は単なる無人戦闘機ではありません。単独ではなく有人戦闘機と連携して任務を行うために作られた機体であり、このような機体を「CCA(Collaborative Combat Aircraft:共同戦闘航空機)」と総称して呼んでいます。

 無人機は小型で発見されにくく、撃墜されても人命損失がないというメリットがあります。そのため、戦闘において攻撃や偵察・探索といった反撃を受ける可能性の高い危険な行動を、有人機に代わって行わせることができます。

 CCAは今後の航空戦において重要な戦力となるのは間違いなく、このMQ-28以外にも世界各国で開発が進められています。また、有人機側にもCCAとの連携能力が求められるようになり、現在開発中の世界中の次世代戦闘機には、その能力に関する要求が盛り込まれています。

4つの命令で標的を撃墜 パイロットの役割の自動化

 無人機というと人間が遠隔操作するイメージがあります。しかし、高速で飛行し状況が刻々と変化する航空戦の世界ではそのような手法では対応できません。通信による遅延があるためです。

そこで代わりに採用されたのがAI(人工知能)による自律制御です。

 MQ-28も高度な自律制御機能が備わっており、それは今回の射撃試験でも実証されました。試験ではMQ-28に人間から与えられた主要な指示は「離陸」、「防空空域での待機」、「目標を自律的に迎撃(接近)」、「(交戦許可後の)ミサイル発射」の4つだけだったそうです。

つまり、MQ-28は常に人間が監視・操作する必要はなく、飛行経路の判断、迎撃コースへの進入、ミサイル発射タイミング、基地への帰還までの行動は、機体側が人間の操縦を介さずに最適な行動を選択し実行したのです。

 つまり、MQ-28は航空戦で戦う戦闘機パイロットの役目までも自動化しているということになります。戦闘機パイロットの養成には、数年の訓練期間と数億の費用が掛かります。それは戦闘機の運用と航空戦が非常に複雑で高度な技量が必要であるからです。

 もちろん、これを無人戦闘機に肩代わりさせるのは簡単なことでなく、その開発はある意味でハードウェアよりも困難なものとなります。実際、MQ-28の開発では初飛行から最初の5年間は、ハードではなくソフトウェアを主軸にした開発が進められたそうです。「初飛行から最初の5年間は、機体そのものではなく、ミッションシステムと運用能力、デジタル上での開発基盤の整備に注力してきました」(ボーイング担当者)。

日本はどうする?

 MQ-28の開発は順調に進んでおり、現在は最初のモデルである「ブロック1」で各種試験が行われていますが、今後は改良した「ブロック2」がオーストラリア空軍に導入され、さらに大型化してウェポンベイ(兵器倉)を装備した「ブロック3」の開発も進められています。

 また、この無人戦闘機には、日本もすでに関与し始めています。

 2025年9月に発表された日豪外務・防衛閣僚協議(「2+2」)の共同声明では、「MQ-28Aに関する協力の拡大」や、「2026年度に実施される飛行試験に航空自衛隊が研修として参加する計画」が明記されており、ボーイングも「共同声明に基づき、航空自衛隊との試験実証協力が進行している」とこれを認める発言をしています。

 現時点で日本は開発に直接参加しているわけではありませんが、実際の試験に関与することで、無人戦闘機の運用や戦術に関する知見を蓄積しようとしているとみられます。

 航空自衛隊は現在、日本・イギリス・イタリアによる次世代戦闘機開発計画「GCAP(グローバル戦闘航空プログラム)」を進めていますが、この機体にも無人機との連携能力が求められています。

 今後、日本が独自に無人戦闘機を開発するにせよ、国際共同開発を選択するにせよ、MQ-28で実証されているような運用思想や技術が参考になる可能性は高いといえるでしょう。