【ワシントン時事】トランプ米大統領は3日の記者会見で、米石油大手がベネズエラでの事業に再び本格参入し、投資を通じて巨額の利益を上げる構想を描いてみせた。世界最大の埋蔵量を誇る同国での権益確保の野心をむき出しにした格好だが、政情不安に加え、ベネズエラ産原油自体の問題など実現には険しい道が待ち受ける。
「世界最大級の米石油企業に参入してもらい、数十億ドル(数千億円)を投資して損傷した石油インフラを復旧し、ベネズエラのために収益を上げてもらう」。トランプ氏は会見でこう強調する一方、ベネズエラの石油産業を「完全な失敗だ。何も生産してこなかった」とこき下ろした。
ベネズエラの原油埋蔵量は3000億バレル超。中東の産油国を上回り、世界の約17%を占める。だが、政情不安や米国の経済制裁による打撃、インフラの老朽化が進み、生産量が減少。米エネルギー情報局(EIA)によれば、2000年に日量320万バレルだったのが、23年には日量73万5000バレルへと落ち込んだ。
現在、ベネズエラで操業を続けているのが米石油大手シェブロン。だが、米政府の認可の下で事業を行っており、活動は大幅に制限されている。トランプ政権はシェブロンを中心とする大手にベネズエラへの投資を促して油田開発やインフラ整備を進め、権益拡大を目指す戦略とみられる。
しかし、ベネズエラの石油はアスファルトのような粘度の高い「超重質油」。ガソリンなどに精製するには特別な設備が必要で、多額のコストがかかる。米メディアは大幅な増産に「数年間にわたり数百億ドル(数兆円)」規模の投資が必要になるとの試算を伝える。中南米最悪ともされる治安に加え、マドゥロ大統領の排除で政情が不安定化する中、投資をためらう企業も多いとみられ、トランプ氏の野望がすんなり実現する保証はない。
〔写真説明〕ベネズエラの石油掘削施設=2021年9月、北西部マラカイボ湖(AFP時事)