
<ECCレディス 2日目◇16日◇北六甲カントリー倶楽部 東コース(兵庫県)◇6502ヤード・パー72>
4位から出た神谷桃歌が5バーディ・1ボギーの「68」で回り、トータル8アンダーで首位に並んだ。昨年のプロテストに合格した26人のうち、レギュラーツアーで入谷響と荒木優奈が優勝し、ステップでは2勝の大久保柚季を筆頭に青木香奈子、加藤麗奈ら6人が優勝している。都玲華はアマ時代の昨年4月に「大王海運レディス」を制しており、すでに3分の1が優勝経験者。ルーキーたちの存在感が際立つ異例のシーズンとなっているが、その流れに乗って“7人目”に名乗りを挙げたのが、残り92ヤードの2打目をピンそば50センチにつけた9番パー4からの3連続バーディなどで4つスコアを伸ばした神谷だ。
「優勝は今年の目標の一つ。優勝したい気持ちは強いです。同期にはレギュラーで勝っている人もいるし、ステップでも優勝している。焦る気持ちもあるけど、自分はちょっとずつしか進歩しないんです。急に飛躍したりとかはないので、自分のペースでちゃんとやって優勝できたらいいなと思います」
2006年3月生まれの19歳のゴルフ人生の自己評価は“牛歩”だ。プロテストは愛知・南山学園聖霊高3年時の23年に初挑戦して失敗。中京大のスポーツ科学部に進んだ昨年、狭き門を突破した。「プロテストは1回で合格していないし、ジュニアのころも1年目は全国大会にいけず、2年目は出るだけ。3年目でトップ10とか、なんか本当にそんな感じなんです」。だが、大学1年時の昨年8月には「日本女子学生」に優勝。初日からの首位を守る完全Vで、ボギーは3日間で1個だけ。「ゆっくり」「少しずつ」という言葉とは裏腹のスピードVだった。
「あれは確かに1年目だったけど、あのときは本当にいいゴルフができたので」。大学入学後、わずか5カ月でつかんだ学生日本一。ステップ9試合目の初Vも早すぎることはない。「淡々と2日間、伸ばしている感じなので、最終日もそういうゴルフがしたい。もうちょっとパットが決まってくれて、抜け出せたらいいなぁと思います」。
今季のツアーメンバーには5人の神谷姓がいる。最初に浮かぶのはツアー通算4勝の神谷そらだが、今週のステップの主役候補は、よく妹に間違われるという。そらの妹でプロを目指している『もも』と『桃歌』。「同い年で、同じ『もも』なんで…。ギャラリーの方にもプレー中に『あれ妹だよね』と言われます。全部聞こえているんですけどね」。
4人が首位に並ぶ大混戦の最終日。「時間があれば大学に行っています。きちんと卒業はしたい」という女子大生プロが目指すは勘違い撲滅。優勝が最高の自己紹介となる。(文・臼杵孝志)