第6回 味も価格も東京に引けをとらない、名古屋の本格江戸前寿司


第6回 味も価格も東京に引けをとらない名古屋の本格江戸前寿司  たまに東京へ行くと、悔しさでいっぱいになる。

 寿司や蕎麦、天ぷらなどの、いわゆる江戸前料理のクオリティやコスパの高さだ。それこそ、名古屋にある店が束になっても敵わないのである。

 なかでも顕著なのは、寿司だ。

 三河湾という全国屈指の漁場がありながら、名古屋市内には本格的な江戸前寿司をリーズナブルに食べさせてくれる店がほとんどないのだ。
 本当に美味しい寿司を食べようと思ったら、寿司だけで夜の場合、10000円~15000円は覚悟せねばならない。

 庶民にとってはハードルが高すぎるのだ。


 そんななか、食通の知り合いから「良さげな寿司屋を見つけた」との連絡を受けて向かったのが、地下鉄東山線東山公園駅1番出口の目の前にある『鮨 ひがし山』。

 その佇まいから、かなり敷居が高そうに見えるが……。


 白を基調に木の温もりを生かした店内で着目すべきはカウンターの高さ。

 職人が仕事する場と同じにしてあり、目の前で江戸前ならではの細やかな仕事ぶりを楽しめるのだ。

 ネタケースも目の前にあり、その日に仕入れた旬の魚介が並んでいる。

「ネタの大半は愛知県三河湾産です。シャリは岐阜県産のハツシモを使っています」

 そう話す板長の堀込慎也さんは、地元名古屋の寿司店や東京の高級ホテルなどで修業を重ねた大ベテラン。


 ますます値段が気になるところだが、メニューを見せてもらってひと安心。

 おきまり握り鮨「粋」は、握り寿司8カンと細巻1本に先付と茶碗蒸し、椀物、水物が付いて5000円。

 これならお酒を飲んでも10000円でお釣りが来る。

 この日の握り寿司は、手前左から、コチ、甘エビ、平貝、イサキ、イクラ。奥左から、剣先イカ、中トロ、アジ、鉄火巻き。

 どれもネタの一つ一つに丁寧な仕事が施してあり、見た目も美しい。

 口へ入れると、絶妙なタイミングでシャリがほどけて、ネタの旨みと一つになる。もう、全身の細胞という細胞が喜んでいるのがわかるほど旨い!


 ランチは「月替わり小丼」と「本マグロの漬け小丼」、「ばらずし」の3種類から選べる小丼と握り寿司4カン、茶碗蒸し、椀物、水物がセットになった「月替わりランチ」(2000円)を用意。

 写真は、「ばらずし」。握り寿司は日替わりで、この日は左から、コチ、マグロ赤身、甘エビ、太刀魚炙り。ランチといえど、ネタは夜と同じものを使用。これはかなりお得だ。


鮨 ひがし山
愛知県名古屋市千種区東山通5-1 ジュアンドル東山1階/☎052-715-6003/[営]11時半~14時、17時~22時(21時半L.O.)/[休]水、木の昼/[交]地下鉄東山線東山公園駅1番出口すぐ

永谷正樹(ながや・まさき)
1969年生まれのアラフィフライター兼カメラマン。名古屋めしをこよなく愛し、『おとなの週末』をはじめとする全国誌に発信。名古屋めしの専門家としてテレビ出演や講演会もこなす。

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