東京電力福島第1原発事故で放射性物質が大量に放出されたことにより、広範囲での除染作業が必要となった。除染費用は最終的に、政府機関である原子力損害賠償・廃炉等支援機構が保有する東電株の売却益を充てることになっているが、株価は低迷を続けており、この15年間で目標値とされる1500円に一度も届いていない。
同機構の前身組織は2012年、1兆円を投じて東電株の過半数を取得、実質国有化した。経済産業省は東電が安定して利益を出し、企業価値が向上していけば株価も上昇し、多額の売却益が出ると見込んだ。
同機構が保有する全株を1株1500円で売却できれば、想定する除染費用4兆円分を回収できる見通しだ。だが、5日時点でも東電の株価は500円に満たず、目標の3分の1以下にとどまっている。
同機構の前身組織に対して金融機関が行った融資などには政府保証が付いており、株価低迷のリスクは国が負っている。そのため、売却益も本来は国の資産の側面があるが、東電の経営上、除染費用を負担させるのは難しいとの政府の判断でこの計画が立てられた。
除染費用を巡っては、既に国費も一部投じられている。会計検査院によると、福島県内の帰還困難区域のうち、避難指示を解除して居住を可能とする「特定復興再生拠点区域」や、住民の帰還や居住を可能とする「特定帰還居住区域」が設定され、除染が進められている。今年3月末までにこれらの区域の除染にかかった費用は計4079億円で、国が全額負担する。