「第二のアクアライン」ともいえる東京湾を横断する道路の実現に向けた動きが活発化しています。ではこの道路、どこに「つながる」のでしょうか。
房総と三浦をつなぐ約17kmの構想
「第二のアクアライン」ともいえる東京湾口道路の実現に向け、地元の動きが活発化しています。構想自体は長年存在してきましたが、2024年には建設促進期成同盟会が新たに設立され、2026年6月には千葉県が国に実現に必要な調査を求めました。
東京湾口道路は、千葉県富津市から東京湾の入口に当たる浦賀水道を横断して神奈川県横須賀市に至る約17kmの道路構想です。具体化すれば「土木のアポロ計画」とまで言われた東京湾アクアラインに匹敵するビッグプロジェクトとなるのは必至ですが、アクアラインの交通量がひっ迫するなか、その代替路としての必要性も訴えられています。
もっとも、まだ建設が決まったわけではありません。そもそも、この道路が接続する陸上側の道路網も、完成しているとはいえないのです。
東京湾口道路の接続先の「構想」とは
東京湾口道路の接続先となるのが、千葉・東京・神奈川の湾岸を貫く「東京湾岸道路」です。延長約160kmの幹線道路として計画されています。自動車専用道路と一般道路で構成されるため、幅員は50~100mにも及び、埋立地などを貫く広大な道路空間が確保されてきました。専用部に当たるのは東関東道や首都高湾岸線など。一般部は国道357号を中心に、国道14号や国道16号も含む道路網です。
この東京湾岸道路の計画上の起点は「富津市」、終点は「横須賀市」です。つまり、その間にある浦賀水道を東京湾口道路で横断すれば、東京湾をぐるりと取り巻く道路網がつながります。両路線を総称して「東京湾環状道路」とも呼ばれます。
ただ、その受け皿となる東京湾岸道路は、まだまだ整備途上の段階です。
神奈川県側では、一般部が国道16号などを介して横須賀方面へ続いています。一方、専用部については横浜横須賀道路が横須賀市の馬堀海岸ICまで開通しています。ただし、東京湾口道路の接続先となるであろう専用部が、富津から横須賀まで一続きに整備されているわけではありません。
神奈川から東京にかけての東京湾岸道路の一般部は、埋立地どうしをつなぐ海上区間などに未整備部分がありますが、より大きな“空白”があるのは、むしろ千葉県側です。
アクアラインの前後は「まるまる無い」東京湾岸道路
東京方面から続く東京湾岸道路の専用部は、千葉市以南の区間が未整備です。千葉県は、この専用部を千葉市から富津市まで整備することも国に要望しています。しかし木更津市内、ちょうどアクアラインの前後区間は、一般部が影も形もない状態なのです。
一般部の市原市以南は国道16号に指定されていますが、袖ケ浦市から木更津市に入ると、湾岸部を離れて内陸側へ向かいます。ここは「東京湾岸道路」ではありません。しかし、木更津市街地の南側で再び湾岸方面へ向かうようなルートとして指定されており、少々いびつな形です。
その国道16号が向きを変えるイオンモール木更津付近から南側には、再び湾岸に沿った幅の広い道路が現れます。これが東京湾岸道路の“続き”の区間です。君津市の日本製鉄君津地区の前を通り、富津市の埋立地へと続いています。この区間は君津市まで国道16号、そこから富津市まで千葉県道90号木更津富津線に指定されています。
では、東京湾口道路を実現するには、千葉県側でどれほどの道路整備が必要なのでしょうか。
高速道路の「支線」が受け皿に!?
ここで注目したいのが、館山道の「木更津南支線」です。木更津南JCTから、館山道の開通時の終点だった木更津南ICまでの支線は、イオンモール木更津の南側で国道16号(東京湾岸道路)に接続しています。この周辺から富津市の東京湾岸道路の終端までは、およそ9kmです。
木更津南ICは、高速道路をそのまま東京湾岸道路へ延ばせそうな構造になっています。館山道~東京湾岸道路~東京湾口道路と専用部をつなげることで、千葉側の整備延長を短くできるかもしれません。
いずれにしても、東京湾口道路は海を横断する部分だけを造ればよいわけではなく、富津・横須賀の両側で道路網を整え、東京湾岸道路の専用部などと接続しなければ「第二のアクアライン」にはなり得ないでしょう。
ただ、渋滞が深刻な千葉県内の東京湾岸道路は、そのバイパスとしての「新湾岸道路」の方が先に実現しそうな様相ではあります。そう考えると、東京湾岸道路の整備から東京湾環状道路の形成に至るまでには、文字どおり「100年計画」になる可能性もありそうです。