J1最多出場記録に並んだ西川周作、節目の一戦は4失点敗戦「自分が成長するための過程。『まだまだだぞ』と神様に言われている」

”滝のように降る雨”増加傾向に

 クラブOBの曺貴裁監督率いる新体制でスタートした今シーズン、浦和レッズは苦しい序盤戦を強いられた。それでも8月から9月にかけて公式戦で4連勝し、浮上のきっかけを掴むと、9〜10月にかけて3連勝。さらに10月突入後も、ルヴァンカップ1stラウンド3回戦・横浜FC戦から28日の同4回戦・名古屋グランパス戦まで公式戦5連勝を果たし、ようやく光明が見えてきた印象だ。

 こうした中で迎えたのが、J1リーグ第13節の柏レイソル戦。この一戦は浦和にとって特別なゲームだった。というのも、絶対的守護神・西川周作が遠藤保仁が持つJ1通算672試合という最多出場記録に並んだ節目。キャプテンマークを巻いた宮本優太が「今日は周さんのために全力で戦おう」とチーム全体を鼓舞した。強い意気込みを持って、かつて浦和を指揮したリカルド・ロドリゲス監督率いる柏に向かった。

 試合の入りは悪くなかった。AFCチャンピオンズリーグ・エリート ラーチャブリー戦から移動を伴う中3日ということで、柏は先発9人を大胆変更。連携面で難しさもあったのか、立ち上がりは浦和が主導権を握った。かつて柏のエースだったマテウス・サヴィオや好調の金子拓郎が鋭いプレーでチャンスを演出。浦和に先制点が生まれてもおかしくない雰囲気だった。

 しかしながら、そこから一気にギアを上げてくるのが今の柏。前半37分には一瞬のボールロストから一気に攻め込まれ、元浦和の小泉佳穂に先制点を奪われる。これは遠藤渓太のシュートが宮本に当たったこぼれ球を押し込まれたもので、西川としても対応しきれなかった。0−1のビハインドを背負ったまま、試合を折り返すことになったのだ。

 曺監督は後半から小森飛絢など持ち駒を投入し、圧力をかけていこうとするが、後半23分に弓場堅真に2点目を取られたのが痛かった。その後、宮本が2枚目の警告を受けて退場すると、終盤には久保藤次郎、原田亘と2失点。終わってみれば0−4の大敗で、西川の記念すべきゲームを勝利で飾ることはできなかった。

「今日は本当に受け入れがたい結果になってしまった。ファン・サポーターの方には申し訳ないですし、負けるにしても0−4はダメだと思います」と40歳のGKは開口一番、お詫びの言葉を口にした。「やっている感覚でも前半から非常にいい入りができましたし、チャンスも作った中で、ハーフタイムもみんなでポジティブな声をかけていました。後半にワンチャンスを決められてからズルズルとなってしまったかなと。そこは自分たちの足りない部分だと肝に銘じながら、まだまだ成長できると思います」とベテラン守護神は気丈に前を向いた。

 ただ、こういった苦境は彼自身のプロキャリアの過程にも多々あった。大分トリニータ時代の新人だった2005年7月2日の横浜F・マリノス戦でプロデビューを飾り、2008年北京五輪出場、同年ヤマザキナビスコカップ優勝など順調に階段を駆け上がったと思いきや、2009年には大分が財政破綻。地元を離れてサンフレッチェ広島行きを決断せざるを得なくなった。

 広島時代はコンスタントに出場し、2012年のJ1制覇にも貢献したが、日本代表では川島永嗣という偉大な先輩の存在もあって、正GKの座を掴み取れなかった。そして浦和では13年間もの長きにわたって過ごしているが、ACLやカップ戦こそ手にしているものの、リーグタイトルはなし。2025年のFIFAクラブワールドカップ惨敗など近年は苦境も続き、批判にさらされることも少なくない。もちろんサッカー選手に紆余曲折はつきものだが、西川の20年超のキャリアも浮き沈みの連続。今回の0−4も“一つの試練”と言っていいだろう。

「これはもう自分が成長するための過程だと思っています。この結果は『まだまだだぞ』と神様に言われているのかなと。本当にここでうまくいくよりも、『もっともっと成長しろ』ということですし、僕の中には目標もあるので。浦和レッズの一員として、リーグ優勝がまだ取れていないですし、タイトルへの思いは自分の中ですごくあります。レッズが優勝できれば、浦和の町も盛り上がりますし、常に満員のスタジアムにしてもらえる。僕たちが強くならないと、ファン・サポーターの方は来てくれないので、『あの環境が当たり前じゃないんだぞ』というところは、危機感を持ちながらプレーしていきたいと思います」と大ベテランは屈辱的敗戦を今後の糧にしていく覚悟を口にした。

 新記録の673試合目となる11月8日の次戦・ヴィッセル神戸戦は、MUFJスタジアム(国立競技場)での大一番。そこで上位争いの真っ只中にいるヴィッセル神戸を撃破できれば、チームの流れもガラリと変わるはずだ。対戦相手にはかつて日本代表でも共闘してきた大迫勇也、酒井高徳らがいて、相手にとって不足はない。

「相手が神戸さんということでやりがいを感じます。僕らは開幕3連敗からスタートして積み重ねてきているものがある。この0−4で崩れることはしたくないですし、また来週みんなでいいトレーニングをして、次の試合に向かっていきます」

 あくまで柏戦を通過点と捉える西川は自身の歩みを止めるつもりはない。年長の川島は現役続行中で、後輩の鈴木彩艶も最高峰リーグでバリバリやっている。彼らに負けているわけにはいかない。西川の本領発揮はここからだ。

取材・文=元川悦子

【ゴール動画】柏vs浦和