【ベルリン時事】旧ユーゴスラビア構成国セルビアで25日、国民議会選挙(一院制、定数250)が実施される。反腐敗を掲げる学生主体の新興政治勢力「学生リスト」が支持を広げ、実権を10年以上握ってきたブチッチ前大統領率いる与党連合と激しく競り合っている。中国とロシアに接近していたハンガリーのオルバン前政権の退場に続き、同じく強権的なブチッチ氏の長期支配に終止符が打たれるか欧州諸国は注視している。
ブチッチ氏は、自身の影響下にある与党寄りのメディアを通じ、任期中の「経済的成果」をアピール。学生の抗議運動には「外国の諜報(ちょうほう)機関」が絡み、治安を悪化させていると主張している。
学生リストは、司法の独立回復や公共調達の透明性確保、報道の自由などを公約に掲げ、「腐敗の中で衰退するか、法を尊重する新たな国家を築くか、選択の時だ」と呼び掛けている。外交方針はほとんど明らかにしていない。
ブチッチ氏は欧州連合(EU)加盟を目指しつつ、中ロとの密接な関係を保つバランス外交を展開してきた。一方、学生側が政権を取れば、親欧路線に傾くとみられる。社会の分断が深まる中、開票結果が僅差の場合、選挙の公正性を巡って対立が激化し、社会的混乱が生じる恐れもある。
国際選挙監視団は、有権者に対する圧力などの問題への対処が十分ではないと指摘。在外投票の時間を現地ではなくセルビア時間に合わせたため、投票機会が制限されているとの批判も出ている。
セルビアでは、2024年11月に北部ノビサド駅で16人が死亡した崩落事故が発生。学生による責任追及の動きが拡大し、長らく腐敗が指摘される政権への不満が募っていた市民の支持を得て反政府運動に発展した。
〔写真説明〕22日、ベオグラードで選挙集会に参加する新興政治勢力「学生リスト」の支持者ら(AFP時事)
〔写真説明〕セルビアのブチッチ前大統領=21日、南部ニシュ(AFP時事)