今季の明治安田J2リーグで“旋風”を巻き起こしているカターレ富山。昨季は最終節に大逆転残留を決めたチームが、今季は上位争いを繰り広げている。今節は敵地でRB大宮アルディージャと対戦し、3発完封勝利で3位に浮上した。
注目のJ2上位対決、ホームの大宮はキックオフからエンジン全開で富山ゴールに襲いかかる。「明らかに大宮のゲーム(安達亮監督)」「こうやって持たれる試合は初めて。正直、前半は大宮さん強いなと感じた(岡本將成)」と圧倒され、安達監督のもとで磨きをかけているパスサッカーは鳴りを潜めた。耐えしのぐ時間が続いた前半をスコアレスで折り返すと、ロッカールームでは「やるべきことを明確にした(安達監督)」と再度意思統一を図る。「ネガティブな感じではなく、よく抑えたと。『後半は俺らのサッカーをするぞ!』というポジティブな声掛けがすごく多かった」と岡本は明かした。
後半はロングボールも織り交ぜながら、徐々に前進を図る。59分には「連戦ですし、控え選手は元気なんでね。レベルの高い競争もしていますし、思い切って替えた」と前線の3選手を入れ替えた。この安達監督の采配が的中する。63分に交代で投入された坪井清志郎が先制ゴールを決めると、その1分後には布施谷翔が豪快な追加点。後半アディショナルタイムには、前掛かりになった大宮の隙を突き、途中出場の國武勇斗がダメ押しとなる3点目を決めた。安達監督は「まだまだやらないといけないことは多い」と反省しつつも、「後半からパッと変えられたことを称えたい」と述べた。
富山はリーグ戦直近2試合で先制に成功しながら、追いつかれてドローが続いていた。ビハインドを背負った大宮は攻撃のカードを次々に切って反撃に転じたが、守護神・平尾駿輝の好セーブ、そして岡本を中心とした守備陣が体を張って最後までゴールを割らせなかった。特に3バック中央の岡本は、大きな身振りで最終ラインを統率。「杉本健勇さんなどヘディングの強い選手が入ってきたので、ラインを下げてしまうと、少し触られただけでも(失点の)確率が上がってしまう。できるだけゴールから遠ざけたいと思っていたので、ラインを上げることはすごく意識していました」と明かす。さらに「ラインを上げても、その後の戻りや準備が遅かったということもあったので、そういった反省を生かして、今日は改善できたことが無失点につながった」と振り返った。
パスワークを武器とする富山の総得点「23」は、横浜FCと並んでリーグトップ。攻撃に注目が集まりがちだが、岡本は「クリーンシートはJ2で一番多い。攻撃的なチームが無失点なのは、みんなの頑張りでもあると思いますし、もっと守備が注目されてもいい」と胸を張る。その言葉の通り、失点数「11」はリーグ2位タイで無失点試合数「6」は徳島ヴォルティスと並んでリーグトップとなっている。「前線の選手が守備を頑張ってくれたおかげで、後半は相手の足が止まったと思います。その中でゲームチェンジャーの選手たちが流れを変えられるのも富山の良さ。チームとしての競争もしっかりとできているのかなと思います」と岡本は語った。
安達監督のもとでは、特に切り替えの速さとシュートへの意識を強く植え付けられ、攻守で完成度の高い魅力的なサッカーを体現している。それでも、岡本は「J1でも勝てるサッカーを目指している」と、さらなるレベルアップを誓った。クラブ史上初のJ1昇格へ、攻守両面で進化を続ける富山の挑戦は続く。
取材・文=三島大輔(サッカーキング編集部)
【ハイライト動画】カターレ富山が魅せた!敵地で大宮に3発完封勝利