「餃子の王将」を展開する王将フードサービス(京都市)社長だった大東隆行さん=当時(72)=が2013年に射殺された事件で、殺人などの罪に問われた特定危険指定暴力団工藤会系組幹部、田中幸雄被告(59)の判決が16日、京都地裁(西川篤志裁判長)で言い渡される。争点は犯人性で、被告の関与を示す直接証拠が乏しい中、たばこの吸い殻などの状況証拠がどう判断されるかが焦点だ。
昨年11月の初公判で、被告は「私は決して犯人ではありません。任侠(にんきょう)道を志す者として、ぬれぎぬの一つや二つは甘んじて受け入れますが、センセーショナルな事件まで到底承服できません」と否認。その後の被告人質問を拒否し、最終意見陳述では改めて無罪を訴えた。
公判で検察側は、被告が本社前でたばこ2本を吸いながら1人で待ち伏せし、大東さんが出勤したところを至近距離で銃撃した後、盗難バイクで逃走したと主張。現場付近で見つかったたばこの吸い殻2本に付着した唾液のDNA型が被告のものと一致しており、吸い殻の火の消え方から、第三者が持ち込んだとは考えにくいとした。
事件に使われた可能性がある別のバイクの盗難に被告が関与したとも訴え、「周到に準備された組織的、計画的な犯行で、反社会性は極めて大きい」と無期懲役を求刑。「背景には犯罪実現を欲する首謀者の存在がうかがわれる」とも述べたが、上場企業トップを狙った動機や経緯への言及はなかった。
一方、弁護側はたばこを吸った際に出る白い灰などが見つかっていないとして「犯人が被告を陥れるため、吸い殻を遺留した」と強調。DNA型鑑定の信用性なども争っている。
殺人罪は裁判員裁判の対象だが、裁判員やその家族に危害が加えられる恐れがあるとして、裁判官のみで審理された。
起訴状によると、被告は13年12月19日早朝、氏名不詳者と共謀し、京都市山科区の王将本社前駐車場で大東さんの胸や腹を拳銃で撃ち、殺害したとされる。
〔写真説明〕田中幸雄被告