米実業家イーロン・マスク氏が立ち上げた半導体製造構想「テラファブ」で、2032年に米テキサス州で大規模な量産工場の稼働を目指す計画が9日、明らかになった。事情に詳しい関係者によると、量産化に向けて27年中に同州で半導体の試作工場を稼働させる準備を進めている。世界的な人工知能(AI)ブームで先端半導体が不足する中、マスク氏は自前で先端半導体を製造し、AIへの投資を加速する。
すでに試作工場向けに日本の半導体製造装置や材料企業への発注が始まっているという。同工場は27年7月にも完成し同年中に稼働する予定だ。
32年の稼働を目指す大規模な量産工場では、高度な計算を可能にするロジック半導体とメモリーの生産を一つの工場で担う。最終的な生産規模は月産約100万枚となる見通しで、そのうち約7割をメモリーに、約3割をロジックに生産能力を割り当てる。生産規模は台湾積体電路製造(TSMC)や韓国サムスン電子など、大手半導体メーカーの大規模工場に匹敵する。
ロジック半導体の生産では米インテルが技術協力し、同社の回路線幅2ナノメートル(ナノは10億分の1)や1.4ナノメートルの技術を採用する方向で調整している。関係者によれば、メモリーの製造では台湾企業が技術協力する構想が浮上している。
テラファブはマスク氏が3月に発表した構想。電気自動車(EV)大手テスラや宇宙開発企業スペースXが中心となり、半導体工場を整備する。初期段階で550億ドル(約8兆7000億円)の資金を投じ、追加分を含めると、総投資額は1190億ドル(約18兆8000億円)規模に拡大する可能性がある。
〔写真説明〕米実業家イーロン・マスク氏=1月22日、スイス・ダボス(AFP時事)