首都高速道路が2026年10月1日から通行料金を改定。その後も段階的な値上げのほか、さらに大きな負担増が予定されています。
通常料金は10月1日から段階的に値上げ
首都高速道路が2026年10月1日に通行料金を改定します。これは大きな「見直しに着手する」と“予兆”と言い換えることもできます。
柱は二つあります。一つは基本となる通常料金の値上げ、もう一つは「ETCコーポレートカード」利用者向けの大口・多頻度割引の大幅な圧縮です。金額ベースでは前者が目立ちますが、運送事業者など大口利用者への実質的な負担増という観点では、後者の影響の方がはるかに大きいといえます。
首都高の料金区分は軽自動車等・普通車・中型車・大型車・特大車の5区分です。このうち軽自動車等と普通車は10月1日から、中型車以上の3区分は9か月間据え置かれた後、2027年6月から値上げされます。値上げ率はいずれも1kmあたり10%で、普通車のキロ単価は29.52円から32.472円に上がります。
改定後の料金は次の通りです(カッコ内は改定前)。
・軽四輪・軽二輪=280円~1740円(280円~1590円)
・普通車=300円~2130円(300円~1950円)
・中型車=330円~2520円(330円~2310円)
・大型車=400円~3410円(400円~3110円)
・特大車=550円~5570円(550円~5080円)
値上げを2段階に分けた理由について、青木由行社長は中型車以上を「重要なインフラと位置付けているため」と説明し、労務費や材料費の急激な高騰に対応しながら適正な価格転嫁を進める姿勢を示しました。
影響はむしろ「大口・多頻度割引」の圧縮に
しかし、今回の見直しで実際の負担増が大きいのは、通常料金よりも大口・多頻度割引の圧縮です。首都高は、現行で最大45%となっているこの割引率を、最大12%まで引き下げます。12%という水準は、2012年に割引制度が導入された当初の「車両単位割引」率に相当します。
その引き下げも2段階で実施されます。中型車以上を対象として、2030年7月に割引率の上限を25%に引き下げ、2031年3月末、最終的に12%まで圧縮します。
大口・多頻度割引は「ETCコーポレートカード」の契約者が対象で、大口割引と多頻度割引の2種類からなります。適用には、1法人あたり月間100万円超の利用、かつ1台平均5000円超の利用実績が必要で、最大割引を得るには単独で30~50台程度を保有し日常的に首都高速を利用する運送事業者か、割引取得を目的の一つとする事業協同組合への加入が条件です。
制度導入当初の割引率は12%でしたが、適用条件の代替緩和や運送事業者による高速道路利用の促進を狙い、段階的に引き上げられ、現行の45%に達していました。
経営を圧迫する「巨額の割引」
ETCコーポレートカード契約者に複数の割引が重ねて適用される現状の仕組みは維持されます。例えば深夜割引(20%)が適用される時間帯では、通常料金からまず20%が割り引かれ、その後に大口・多頻度割引が適用されます。この割引が最終的には12%に下がるわけです。
現行の45%だと、大型車の実質的な負担額が「バイクの通常料金並み」まで抑えられるケースもありました。
大口・多頻度割引は、対象となる大口利用者にとっては極めて魅力的な制度だった一方、車種間の受益者負担の不均衡や、割引原資を負担する高速道路会社の収益悪化を招いているとの指摘があり、道路事業者側からは見直しを求める声が上がっていました。
青木社長もこの点に言及し、「収入が欠けるということになると、想定している維持管理ができないということにもなりかねない」と述べたうえで、「大口・多頻度割引の中型車以上については後年、割引率の控除の縮小という形で、全体の収入は確保させていただき、全体の維持管理について支障が出ないように施策をこうじた」と説明しました。
現在、NEXCO系高速道路会社では、通常料金の車種区分の細分化が議論されています。高速道路会社の中でも先んじて料金所のETC専用化を完了する予定の首都高ですが、利用者に負担を求める一方、ETC専用化がもたらす車種区分の細分化については言及がありません。
ただ、大口・多頻度割引が経営に与える影響は、NEXCO系高速道路会社からも報告が上がっていて、首都高による通常料金の値上げと割引率の圧縮は、こうした業界全体の議論に先鞭をつけるものといえます。