シン豪華クルーズ船「三井オーシャンサクラ」ついに登場 フジと中身ほぼ同じ でも「大違い」なことがある!

雨で需要が増える業界と言えば?

商船三井クルーズの新たなクルーズ船「三井オーシャンサクラ」が横浜港発でデビュー。2024年12月に就航した「三井オーシャンフジ」と同じように外国のクルーズ船を購入してデビューしたものですが、大きな“違い”があります。

日本船籍船の強みを生かす「サクラ」

 商船三井クルーズの新たなクルーズ船「MITSUI OCEAN SAKURA(三井オーシャンサクラ)」が2026年9月19日に就航しました。横浜港・新港ふ頭客船ターミナルに接岸した同船の船内ではデビュークルーズを前に命名記念式典が開催され、登壇した商船三井の田村城太郎社長が「『三井オーシャンフジ』と『三井オーシャンサクラ』の2隻が日本、そして世界の港を舞台に多くの人々を結び、新たな交流を生み出していくことを期待する」と期待感を示しました。

「三井オーシャンサクラ」は米シーボーン社が運航していた「シーボーン・ソジャーン」を購入し日本市場向けに改装したもので、クルーズ船の中でも高級志向のラグジュアリークラスに位置づけられます。総トン数は3万4138tで、全長は198.15m、全幅は26m。船客定員は458人で、客室数は229室です。

 最上級の「三井オーシャンスイート」からスタンダードな「オーシャンビュースイート」まで、さまざまな種類の客室が用意されていますが、全て海に面したスイートルームとなっており、航海中は自分の部屋からオーシャンビューを楽しむことができます。

 三井オーシャンクルーズではオールインクルーシブのサービスが採用されているのが特徴で、「三井オーシャンサクラ」でも移動費や宿泊費、船内の各種アクティビティ参加費だけでなく、基本的な食事代、200種類を超えるドリンクメニュー、Wi-Fi利用料などが旅行代金に含まれています。

 船内にはメインダイニングの「レストラン桜」やビュッフェスタイルの「テラスレストラン八重」など5か所のレストランと、「バー海」など3か所のバーが設けられており、美食の船として35年以上親しまれ2026年5月に引退した「にっぽん丸」の伝統を引き継ぎました。船内では「にっぽん丸」で人気だったローストビーフやにっぽん丸カレーといったメニューも提供します。

 ただ、先行して2024年12月にデビューした「三井オーシャンフジ」の前身「シーボーン・オデッセイ」の2番船である「シーボーン・ソジャーン」を改装したため、「三井オーシャンサクラ」も外観や内装といったハード面はほぼ同じです。しかし、存在としては大きな違いがあります。

より「入門クルーズ」はサクラにお任せ?

「三井オーシャンサクラ」の大きな特長、それはバハマ船籍の「フジ」と異なり、日本船籍船であることです。

 商船三井クルーズ営業戦略部販売グループの野田浩司グループ長は「いわゆるカボタージュ規制を受けないため、国内のショートクルーズが可能だ。『三井オーシャンサクラ』ではワンナイトから2泊3日のクルーズも多く、より利用しやすい旅程を提供できる」と日本船籍船であることのメリットを強調します。

 実際、2027年のクルーズスケジュールを見てみると、横浜を17時に出港し、翌日の9時に名古屋へ到着するようなプランも用意されています。

「日本発着のクルーズ船は外国籍船が多く、海外の港に一度寄る必要があるため旅程自体が長くなる。ここに旅程の短いクルーズを投入することでより幅広い方へ利用していただくことができる」(野田グループ長)

 また、「三井オーシャンサクラ」は全長200m未満という小回りが利く船体サイズであることから、小さな港や離島、湾内などにもアクセスが可能です。このため瀬戸内海の小豆島や、小笠原諸島の父島に寄港し、通船で上陸して観光することができます。

 野田グループ長は「『にっぽん丸』で行っていたテーマ性の高いクルーズを受け継ぎ、新宮(和歌山県)や鞆の浦(広島県)を巡る初春の宝船クルーズや、東北夏祭りクルーズといった企画を『三井オーシャンサクラ』を中心に運航を続けていく」と述べました。これに加えて、飛行機で出港場所へ向かって乗船する日本版フライ&クルーズの「飛んでクルーズ」も展開していきます。

「いつ需要が供給を超えてもおかしくない」

 商船三井クルーズの向井恒道社長は「業界全体としても新造船のデビューが相次いでおり、日本発着市場の存在感が増している」と話します。

 その上で国土交通省が2030年までにクルーズ人口100万人という目標を打ち出したことに触れ、「クルーズが一過性のブームではなく、クルーズ市場が次の段階に引き上がっていく中長期の指針になる」と評価。「ここ最近の動きを見ると、日本のクルーズ市場は目覚める直前の静けさのような雰囲気を呈していると考えている。いつ需要が供給を超えても不思議ではない状況だ」と述べました。

 一方で「フジ」と「サクラ」以外に、商船三井は新造のクルーズ船も発表しています。その投入時期について向井社長は「適切な時期を見極めていく」としつつ「クルーズ市場全体の盛り上がりを鑑みて、船隊整備を図っていく方針に変わりはない」と将来的な新造船2隻の導入に向け意欲を示しています。