「タイコンデロガ」は「関ケ原」!? アメリカ軍艦の命名に込められた戦場の記憶とは

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世界初のイージス艦として知られる「タイコンデロガ」。日本人にとっては不思議な響きのある言葉ですが、実に5回以上艦名に使用された歴史的名称なのです。

「タイコンデロガ」ってどういう意味?

 アメリカ海軍のミサイル巡洋艦「タイコンデロガ」。アメリカ海軍の巡洋艦として最多の建造数を誇るタイコンデロガ級のネームシップであり、初めてイージス・システムを搭載した実用イージス艦の元祖としても知られています。この「タイコンデロガ」という名前は、いったい何を意味するのでしょうか。

 タイコンデロガとは、アメリカ・ニューヨーク州にある地名です。アメリカ先住民イロコイ族の言葉で「2つの湖の間にある場所」を意味し、その名のとおり、シャンプレーン湖とジョージ湖という2つの大きな湖に挟まれた場所に町があります。

 しかし、ミサイル巡洋艦「タイコンデロガ」の名の由来となったのは、この小さな町そのものではありません。町の近くに築かれたタイコンデロガ砦(フォート・タイコンデロガ)が、その由来です。

 このタイコンデロガ砦は、アメリカ独立以前に起きたフレンチ・インディアン戦争やアメリカ独立戦争など、数々の戦いの舞台となった歴史的な要衝でした。アメリカ海軍は、この古戦場にちなんで初代イージス艦の名を「タイコンデロガ」としました。

 「タイコンデロガ」の名は複数回にわたってアメリカ海軍艦艇に与えられており、イージス巡洋艦で5回目となります。それだけアメリカ人にとって歴史的な意味を持つ地名であり、日本でいえば「関ケ原」のような存在といえるでしょう。

古戦場の名前が付けられたアメリカ軍艦

 さて、アメリカ海軍の軍艦名で多いのは、「英雄的な働きをした人物名」と「有名な地名」です。そして、それらに続いて多く見られるのが「古戦場名」です。特に、アメリカ独立戦争や南北戦争にゆかりのある戦場の名が数多く採用されています。

 前述した「タイコンデロガ」のほか、「サラトガ」「バンカー・ヒル」「ヨークタウン」などは、いずれも独立戦争の重要な転換点となった戦いの舞台です。また、タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦には、「ゲティスバーグ」や「アンティータム」といった南北戦争の激戦地に由来する艦名も見られます。

 日本に関係する古戦場の名を持つ艦艇も存在します。その1隻が「イオー・ジマ」です。言うまでもなく、第二次世界大戦の激戦地・硫黄島に由来する艦名であり、強襲揚陸艦の艦名として2回にわたって命名されています。

 初代「イオー・ジマ」(イオー・ジマ級1番艦)は1961年に就役し、現在は2代目(ワスプ級7番艦)が運用されています。実は、この名前は大戦後期のエセックス級航空母艦に採用される予定でした。艦の建造は1945年1月に開始されましたが、終戦が目前となった同年8月12日、過剰戦力と判断されて建造は中止されています。

 なお、硫黄島の戦いが終結したのは1945年3月26日です(組織的戦闘の終結。その後も掃討作戦は続いた)。艦名への採用決定時期は不明ですが、激戦の終結から間もなく、その名が新たな艦艇に与えられたことは、アメリカ海軍の命名のスピード感を感じさせます。

 もう1隻、日本の戦場に由来する艦名が「オキナワ」です。こちらも「イオー・ジマ」と同様、第二次世界大戦の激戦地として知られる沖縄にちなんで命名されました。「オキナワ」はイオー・ジマ級強襲揚陸艦の2番艦として1962年に就役し、1992年に退役しました。その後、現在に至るまで「オキナワ」の名を受け継ぐアメリカ海軍艦艇は登場していません。