「お座敷・トロッコ・展望」全部乗せ! 90分があっという間の観光列車、実は“生活の足”の側面も?

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会津鉄道は、東武鉄道・野岩鉄道・JR東日本と直通運転を行っており、浅草と会津若松を結ぶルートの一部でもあります。その会津鉄道の看板観光列車である「お座トロ展望列車」に乗車しました。

只見線の一部とともに会津線を名乗った

 会津鉄道は、西若松~会津高原尾瀬口間を結ぶ第3セクター鉄道です。東武鉄道・野岩鉄道・JR東日本と直通運転を行い、浅草(東京)~会津若松間のルートの一部を担っています。

 会津鉄道の起源は国有鉄道の会津線で、少し変わった歴史があります。まず、1926(大正15)年に会津若松~会津坂下間が「会津線」として開通。後に只見線となる区間です。

 翌年に西若松から上三寄(現・芦ノ牧温泉)まで、1932(昭和7)年に湯野上(現・湯野上温泉)まで、1934(昭和9)年に会津田島まで建設されます。1971(昭和46)年に只見線が全通するまでは、どちらも会津線と呼ばれていました。

 一方、1922(大正11)年の改正鉄道敷設法別表第33号で、「栃木県今市ヨリ高徳ヲ経テ福島県田島ニ至ル鉄道」が計画され、1953(昭和28)年までに会津田島~会津滝ノ原(現・会津高原尾瀬口)まで開通。しかし建設はここで中断されます。

 第2次特定地方交通線として廃止対象となった会津線は1987(昭和62)年4月、JR東日本に継承。同年7月に会津鉄道会津線となります。転機は1986(昭和61)年の野岩鉄道新藤原~会津高原(現・会津高原尾瀬口)間の開通でした。これにより、東武鉄道を介して浅草まで線路がつながったのです。

 その後、会津鉄道は第3セクター鉄道としては異例となる会津高原~会津田島間の電化に踏み切り、浅草発着の直通列車が乗り入れるようになりました。

 また、風景の素晴らしさを生かして観光客の増加を図るため、1999(平成11)年から観光列車を運転しています。日本初のトロッコ気動車「AT-300形」に続き、2000(平成12)年からお座敷車に改造された「AT-103」と組んで「お座トロ列車」となり、2003(平成15)年からは展望車「AT-400形」を組み合わせた「お座トロ展望列車」へと進化しました。

 なお、AT-300形は2009(平成21)年に廃車となり、AT-350形に交代。AT-103も2016(平成28)年に引退し、AT-400形の一部がお座敷化されて、今日の2両編成となっています。

お座トロ展望列車から通勤客が降りてくる?

 筆者(安藤昌季:乗りものライター)は、「お座トロ展望列車」に乗るため会津若松に前泊。そして翌朝、会津若松駅で9時33分着の「お座トロ展望列車会津浪漫月号」を待ちました。この列車は会津田島8時26分発で、トロッコ席の販売はありません。東京方面から8時26分までに会津田島に来るのは無理ですし、鬼怒川温泉からでも6時19分発に乗らなければなりません。つまり観光客が乗っている可能性は低いことになります。また、西若松~会津若松間は乗車券だけで乗れますが、会津田島~西若松間は座席指定券500円が必要です。

 しかし、到着した「会津浪漫月号」からは展望車を中心に20人以上が乗車していました。服装からして観光客の雰囲気ではありません。以前乗車した「AIZUマウントエクスプレス」は西若松からの乗車も多かったため、全員が会津鉄道線内からの利用とは限りませんが、人数は予想以上。「会津浪漫月号」は土休日と春休み、夏休み期間を中心に運行する列車で、会津鉄道線内の次の列車まで80分ほど空いてしまうので、乗る人もいるのだろうと感じました。

 折り返し会津若松9時50分発の観光列車「お座トロ展望列車会津浪漫花号」に乗車します。座席は、リクライニングシートの並ぶ「展望席」、掘りごたつ式で大型テーブルが付いた「お座敷席」、大きな窓で景色を楽しめる「トロッコ席」の3種類です。

 筆者はお座敷席を選びました。展望席は最前列以外、前面の景色があまり見えませんし、前面展望を楽しめるのは会津田島発だけです。もっとも、展望席最前列の前にパイプ椅子を置いたフリースペースがあるので、座席位置と関係なく展望は楽しめます。

 ゴールデンウィーク中ではあるものの、乗客は多くありません。筆者を含めて展望席4人、お座敷席3人、トロッコ席21人の計28人です。お座敷席には非常に大きな窓がありますが、改造で設置されたものなので、窓の位置と座席の位置が一部合いません。

 座席は、会津田島行きなら1番と3番のD席、会津若松行きなら2番と4番のD席がベストと感じました。ちなみに座席はスマートフォンから予約でき、座席指定券代は車内で車掌に現金で支払う形式です。

 JR東日本区間の七日町で、展望席から2人下車します。9時56分の西若松で4分停車し、お座敷席に1人乗車しました。ここから車内販売のアテンダントも乗車します。

 列車は空いていますが、観光列車らしく車窓案内も入ります。大きな動きがあったのは、10時28分の芦ノ牧温泉で、かなりの乗車がありました。お座敷席にも7人が乗車し、一気ににぎわいます。なお、行き違いの列車が3分遅れとのことで、12分停車しました。芦ノ牧温泉はネコ駅長が人気の駅で、駅舎内ではたくさんのグッズが販売されていました。駅に近接する牛乳屋食堂では、全国丼グランプリ金賞受賞のソースカツ丼を提供していますが、次回の楽しみとしました。

橋の上で一時停車、トンネルシアターなど見どころたくさん

 会津鉄道は阿賀川(大川)の渓谷の景色が素晴らしい路線です。特に第三大川橋梁、第四大川橋梁、第五大川橋梁からの景色は見事です。第三大川橋梁などは橋の上で一時停車するので、存分に景色が楽しめます。観光客が車窓にカメラを向けていました。

 トンネル内でも楽しい演出があります。車内がライトダウンされ、トンネルの壁に芦ノ牧温泉駅のネコ駅長「バス」のアニメーションが流れます。10時49分、茅葺き屋根の駅舎で知られる湯野上温泉駅に到着。停車時間が短いためホームに降りないように案内がありました。2人が下車します。

 車内販売では現地の飲み物やグッズも販売されていました。乗車時には地域イベントのチラシも配られます。きめ細かい気配りを感じました。

 10時59分、塔のへつり駅では6人以上が下車していきました。11時7分、会津下郷は駅舎にカフェが併設されているものの、停車時間はわずか。喜多方行き快速「AIZUマウントエクスプレス1号」と列車交換しました。40人以上乗車しています。

 最後の停車駅である会津下郷を出ると、アテンダントがゴミ袋を持って、不用品を回収してくれました。車内は展望席0人、お座敷席7人、トロッコ席6人が乗車していました。やはり途中駅間の需要が高いようです。

 11時23分、会津田島に到着。約1時間半があっという間に感じた、メリハリのある列車旅でした。