日本も開発に参加する次期戦闘機GCAPは英国で「テンペスト」と呼ばれます。実は過去に同名の戦闘機が存在します。どんな機体だったのでしょうか。
前作はタイフーン、次も「嵐」
日本がイギリス、イタリアと共同開発を進めている第6世代戦闘機「GCAP」。この機体は、イギリスでは既に「テンペスト(大嵐または暴風)」の名称で呼ばれています。実はこの名称はイギリスの戦闘機として2代目になりますが、初代はどんな機体だったのでしょうか。
第2次世界大戦中に活躍し、高い速度を誇った初代テンペストについて探ります。
海外では戦闘機に、敵に恐怖心を抱かせたり、勇ましかったりする名称を付けることがあり、これを「シリーズ化」させることもあります。例えば、かつて航空自衛隊も使用したアメリカ製のF-4EJ「ファントムII(幽霊)」の前作機であるF-3Hは「デモン(悪魔)」でした。ほかにも、アメリカ空軍のF-102「デルタダガー(短剣)」、その改良発展型であるF-106は「デルタダート(投げ矢)」といった例が知られています。
こうした命名の傾向はイギリスも同様で、第2次世界大戦中のプロペラ戦闘機に「タイフーン」と「テンペスト」という「嵐」にちなんだ名称がありました。現在のイギリス空軍の主力戦闘機は「タイフーン」ですが、これにちなんで、次のGCAPは「テンペスト」と呼ばれることになったのです。
しかし、これは単なる「嵐」つながりというだけではありません。この2機種の前には、1940年のイギリス本土防空戦「バトル・オブ・ブリテン」で活躍した「ハリケーン」という戦闘機がありました。ハリケーンからタイフーン、そしてテンペストへ。イギリスを勝利に導いた先代の活躍にあやかり、GCAPはテンペストの名を継承したと見るべきでしょう。
では、その初代テンペストはどのような機体だったのでしょうか。
重量級でV1飛行爆弾を迎撃
初代テンペストは、第2次世界大戦中のイギリス機で最高速度を出した機体のひとつとして知られています。2400馬力もの高出力液冷エンジンを搭載し、それを冷却するため、機首の下に大きなラジエーターがまるでアゴのように張り出した特徴的な姿をしていました。
機体の重量は約4トン。これは、第2次大戦中の大型戦闘機として知られるアメリカのP-47サンダーボルト(約4.5トン)には及びませんが、たとえば日本のゼロ戦(52型)が約1.8トンだったことと比べると、2倍以上もある重量級だったことが分かります。最高速度も、ゼロ戦より格段に速い時速700kmを出すことができました。現在開発中のGCAPも、公開されているコンセプトモデル(実物大模型)は大きなサイズであり、こうした点も“2代目襲名”のきっかけになったのかもしれません。
初代「テンペスト」は戦場では、低高度で良好な運動性を示し、主に対地攻撃などに使われました。加えて、その高い速度性能を活かし、ドイツのV1飛行爆弾を迎撃したり、大戦末期に登場したドイツ軍のジェット戦闘機メッサーシュミットMe262を低高度で待ち構えて撃墜したりといった戦果もあげています。