高齢運転手「乗客優先」で救護せず=タクシーひき逃げ死亡、3日に判決―遺族「夜間制限を」・東京地裁

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 東京都豊島区の路上で2024年、乗務中のタクシーで会社員の男性をひき逃げしたとして、自動車運転処罰法違反(過失運転致死)などの罪に問われた元運転手、座波清孝被告(79)の判決が3日、東京地裁で言い渡される。公判で被告は「乗客を優先した」と説明。遺族は「80歳近い高齢者が深夜にタクシーを運転するのは問題ではないか」と疑問を呈している。
 事故は24年1月13日午前2時ごろ発生。単身赴任先の福井県から上京していた会社員の大村武生さん=当時(49)=が、25年ぶりに開かれた母校の国士舘大ラグビー部の同窓会に参加した後、豊島区目白で事故に遭った。タクシーを拾うため、歩道をふさいでいた工事用フェンスを避けて車道に出たとみられる。
 検察側の冒頭陳述などによると、大村さんは被告の車と接触し転倒した約30秒後、別の車にはねられ死亡した。被告は大村さんにぶつかったことを認識したが、救護せず逃走し、乗客に「道路を歩いていて危ないよね」などと発言した。大村さんは転倒した時点では軽い脳振とうだったとみられ、救護していれば助かった可能性が高いという。
 被告は都内のタクシー会社に所属していた。被告人質問で、午前8時~翌日午前2時の18時間のシフトで週2回勤務していたと明らかにし、健康面の異常や運転への不安は「一切なかった」と強調。一方、「そろそろ限界だと思い、大きな事故を起こす前に辞める機会を模索していた」と語った。
 広島県で大村さんの妻子と同居する父親は、意見陳述で「高齢になると動体視力が落ちる。昼間はともかく、夜間の運転は制限してほしい」と指摘。妻は「本来なら子どもの進路を一緒に悩み、入学や卒業の節目には隣で笑っていたはず。その未来は二度と戻らない」と涙ながらに訴えた。
 検察側は懲役3年6月を求刑し、弁護側は寛大な判決を求めている。被告は最終意見陳述で、おぼつかない足取りで証言台に向かうと、消え入るような声で「反省と後悔しかありません」と述べた。 
〔写真説明〕タクシーにひき逃げされた大村武生さん(遺族提供)
〔写真説明〕大村武生さんが死亡した事故現場付近に供えられたラグビーボールやユニホーム(遺族提供)