辺野古移設「県民の反対変わらぬ」=稲嶺元沖縄知事に聞く―知事選

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 沖縄県知事選は13日の投開票に向け、米軍基地問題などを巡る論戦が熱を帯びている。米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の県内移設の是非が初めて争点となった1998年の知事選で、自民党などの支援を得て初勝利した経済界出身の稲嶺恵一元知事(92)に、沖縄の「これまで」と「これから」について聞いた。
 ―本土復帰から半世紀。沖縄は変わったか。
 一言で言うなら本土化した。ウチナーンチュ(沖縄の人)の意識は「沖縄人+沖縄県人÷2」だった。復帰のころはヤマトンチュ(大和の人)とウチナーンチュをはっきり分けていたが、最近はそういうことを言わなくなった。一つの大きな転換点は2000年の九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)。世界の首脳が沖縄に集まり、G8(主要8カ国)が成功したことは誇りになった。琉球時代からの歴史や文化は少しずつ薄れ、沖縄県になりつつある。古い人にとっては寂しさもある。
 ―沖縄と政府の関係は。
 沖縄に心を寄せてくれる政治家がほとんどいなくなった。ただ、それは当然だ。小渕恵三元首相は学生時代に遺骨拾いをやり、橋本龍太郎元首相は学生として対馬丸遺族の話を聴いた。そういう体験があり、沖縄のために何とかしたいという思いを持ったが、(今の政治家に)それを分かれと言う方が無理かもしれない。シンパシーがないことを前提に、どう理論を構築し、対応していくか、沖縄側の努力も求められる。
 ―知事選では普天間飛行場の名護市辺野古移設の是非が再び争点となる。
 分かってほしいのは、いつの時代も辺野古反対は60%以上だ。それは変わらない。米軍基地問題で政府の言いなりになったら、県民から見放される。わたしが(知事時代に)政府にかなり抵抗したのは、沖縄の意見を強く主張しない限り、次につながらないからだ。県民で基地そのものに反対する人はそんなに多くない。国土面積の0.6%にすぎない小さな島に過重な基地を負担させるのはおかしい、全国で持ってほしい、というのが県民の大部分だ。
 ―沖縄振興も知事選の論戦テーマだ。
 琉球銀行の中山吉一元頭取は「沖縄は本土に埋没してはいけない。異質性を伸ばすべきだ」と言っていた。沖縄は普通にやれば47番目のランナーにしかならない。沖縄の特長を生かす(べきだ)。政府から「釣り具」はもらったが、ほとんどは「釣れない釣り具」だった。例えば金融特区は名ばかりだった。東南アジアとの近さなど、沖縄の優位性を生かす仕組みをつくれるかどうかだ。

 

 ◇稲嶺恵一氏略歴
 稲嶺恵一氏(いなみね・けいいち)中国・大連生まれ。慶応大経卒。琉球石油(現りゅうせき)会長や沖縄県経営者協会会長を経て、1998年の県知事選で現職の太田昌秀氏を破り初当選。2期務め、06年知事選に出馬せず引退した。92歳。 
〔写真説明〕インタビューに応じる稲嶺恵一元沖縄県知事=8月28日、沖縄県浦添市