巨大な護衛艦も港ではちゃんと動けない!? 陰ながら海上の防衛を支えている船たちとは?

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横須賀や佐世保など、海上自衛隊の使用する港では、たくさんの護衛艦や自衛艦を見ることができます。それらの艦が入港時はそのそばで動き回る小さな船たちを見ることがあります。

支援船がなければ、護衛艦は入港すらできない

 横須賀や佐世保など、海上自衛隊の使用する港では、たくさんの護衛艦や自衛艦を見ることができます。それらの艦が入港時はそのそばで動き回る小さな船たちを見ることがあります。

 これらの船の名前は「支援船」、護衛艦のように海外で活躍したり、ミサイル防衛を行ったりはできませんが、非常に重要な役割を持った海上自衛隊の船なのです。

 支援船は、いくつかの種類に分けられますので、代表的なものをいくつか見てみましょう。まずおそらく最も目立っているのが、港随一のワークホース、「曳船」です。「タグボート」という呼び方をされることも多いので、こちらの名前の方が有名かもしれません。

 護衛艦クラスの大型艦艇は、外洋で安定してスピードを出すために、巨大なエンジンを積んでいます。海上では高速で航行し安定性もありますが、逆に港などでの細かい動きは非常に苦手です。複雑な地形の入り江や細い海路、艦艇の多い港湾など、スピードを落として航行する必要のある場所では、ほとんど舵が利かなくなってしまうのです。

 そこで登場するのがこの曳船です。曳船は主に港湾の中に入ってきた護衛艦を押したり曳いたりして、港に着岸させたり、目的の場所まで連れていくことを任務としています。数万トンもある護衛艦を単体もしくは複数の曳船でバランスよく、押し曳きをして、ピタリと接岸する様子は、まさに神業のようです。

 この曳船、基準排水量260tクラスのものが多く、大きさは約30m。速度は10ノット(約18.5km/h)程度しか出ませんが、エンジン出力は1,800psもあります。近いサイズの民間船ですと出力は500~600psくらいですから、約3倍のパワーを持っていることになります。もちろん、そのパワーはスピードを出すためではなく、大きな護衛艦を動かすためのものです。

大型艦が動くために不可欠な物資や燃料を運ぶ船

 曳船によって入港した護衛艦は、次の出航に向けて準備をしなければなりません。その時に活躍するのが油船・廃油船・水船などです。油船は「あぶらぶね」と読み、艦艇や搭載航空機の燃料を補給する支援船です。廃油船は、機械オイルや油性バラスト水などを艦艇から抜き取るための船です。これらの油はかつては海に排出されていましたが、海洋汚染防止のため、現在は廃油船によって抜き取られ、適切に処分されています。

 水船は「みずぶね」と読み、その名の通り水を運ぶための船です。艦艇での生活に必要な真水を補給するのが主な仕事ですが、そのほかにも物資を搭載するスペースが設けられており、水だけでなく物資の輸送も担います。そのため、渇水や災害派遣などにも多く使用されています。運貨船は、小型クレーンを搭載した荷物を艦艇に運び入れるための船です。船首には開閉式のランプも取り付けられており、車両を運ぶことも可能です。

 しかし、これらの支援船は港湾施設の拡充や護衛艦の機能充実に伴い、接岸時に行えることも増えているため、少々出番が減っている、というのが実情です。そのため若干珍しい船になっています。

階級によって乗れる船が違う交通船

 港湾内の移動や基地間の人員輸送、物資輸送に活用されているのが交通船です。海上自衛隊の保有する支援船の中では最もさまざまなタイプの船が運用されていますが、実は船番号により、乗る人員が分けられています。2000番台が曹士乗船用、1000番台が幹部乗船用となっています。さらにその上にはVIP乗船用の特別仕様な交通船も用意されています。

 そのほか、港湾内のブイの設置や浚渫作業を行う超重機船や、人力で櫓を漕いで動かす短艇(カッター)、上記のさまざまな作業を補佐する作業船なども海上自衛隊の支援船として運用されています。

 これらのさまざまな支援船は、なかなか見る機会も少なく、また見る機会に恵まれたとしても、大きな護衛艦の方に目を奪われて、注目されにくいかもしれません。しかし、港湾で忙しく動き回るさまざまな艦艇は種類も多く、それぞれが任務に合わせた特徴的な姿をしています。一度注目してみると、その魅力に気づかされることでしょう。