高市政権、なりわい再建に軸足=「四重苦」問われる手腕―熊本地震1カ月

人手不足とオフィス空室率の関係

 熊本地震発生から1カ月の節目を迎え、高市政権は住民生活と地元産業の再建に取り組みの軸足を移しつつある。被災地は過去10年で2度の地震と2度の豪雨の「四重苦」(高市早苗首相)に見舞われ、疲れが積み重なる。高市政権が重視する半導体産業の集積地でもあり、きめ細かい支援を通じて日常を取り戻せるか、手腕が問われそうだ。
 「今なお、多くの方々が猛暑の中で厳しい避難生活を余儀なくされている。生活となりわいの再建支援に力を尽くそう」。首相は27日、13回目となった非常災害対策本部会議でこう訴えた。
 同会議では支援パッケージを決定。目玉の観光需要喚起策「九州ふっこう応援割」のほかにも、外食需要回復支援や井戸の復旧支援など、地域の実情に応じた支援策を盛り込み、県の復興基金への財政支援の検討も明記した。関係者によると、発災1カ月前後で基金に触れるのは異例だ。
 28日には予備費1478億円の使用を閣議決定。被災地選出の木原稔官房長官は記者会見で「政府一丸でこれからも取り組む」と語った。
 熊本地震は高市政権にとり、初の本格的な危機管理対応となった。首相は当初から「前のめり」(周辺)な姿勢を見せ、7月28日の発災当日には3時間後に非常災害対策本部の初会合を開いた。内閣支持率が5割を切る世論調査が出始めていたことが首相の背中を押したとの見方もある。
 首相の被災地入りも発災6日後と迅速だった。ただ、視察のもようを撮影した首相官邸が音楽付きの動画をSNSで公開し、「首相のプロモーションビデオか」などと批判の声も上がった。
 発災1カ月で初動対応は一段落し、政府の取り組みの力点は生活と産業の回復に移る。ただ、2016年に地震、20年と25年に豪雨を経験し、多数の死者を出した被災地には「3歩進み、2歩下がった」(政府関係者)ような徒労感が漂う。
 被災地は半導体受託生産世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の工場を抱え、首相の看板政策「日本成長戦略」を進める上でも重要な地域だ。首相は「脱補正予算」にこだわるが、自民内からは補正予算の編成を求める声が上がる。自身の主張を曲げて第2次補正予算の編成を指示するか、首相が判断を迫られる展開も予想される。 
〔写真説明〕閣議に臨む高市早苗首相(中央)ら=28日午前、首相官邸