浦和レッズの西川周作らが病気と向き合う子どもたちの病院や施設を訪問。続けることで広がる「活動の輪」

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 浦和レッズの西川周作と和田武士、三菱重工浦和レッズレディースの長嶋玲奈と丹野凜々香の4選手が7月末に、さいたま市中央区にある埼玉県立小児医療センターとドナルド・マクドナルド・ハウスさいたま(以下さいたまハウス)を訪問した。

 病気と向き合う子どもたちや、その家族に寄り添うこの活動は、浦和レッズが掲げる「スポーツを通じて次世代に向けて豊かな社会を創っていく」という理念の下、ホームタウン活動の一環として2020年に始まった。今年で7年目。最初は一人の選手の思いから始まった活動が、今ではクラブと地域をつなぐ継続的な取り組みへと育っている。

 きっかけは、西川が地域の方との会話の中で「さいたまハウス」の存在を知ったことだった。日頃から「ホームタウンの子どもたちのためにできることをしたい」という思いを持っていた西川はクラブに相談。浦和レッズが地域との連携を図り、活動が実現した。

 コロナ禍だった1年目は西川の動画メッセージや医療物資の寄贈からスタート。2年目、3年目にはオンラインで子どもたちと交流しながらグッズを届けた。そして2023年、西川が初めて対面で訪問。2024年には西川と宇賀神友弥(現浦和レッズU-21強化担当)、2025年には西川とプロ1年目だった照内利和(現在FC琉球へ期限付き移籍中)が参加した。

 そして7年目となる今年は、西川に加えて今年トップチームに昇格した和田が参加。さらに、これまでトップチームの選手を中心に続いてきた活動に、初めて三菱重工浦和レッズレディースから長嶋と丹野が加わった。活動の回数を重ねるだけではなく、参加する選手の輪も少しずつ広がっている。それは、この活動を通じて地域とのつながりを少しずつ育ててきたからこそ生まれた変化であると言える。

 この日、選手たちはまず、病気と向き合う子どもたちとその家族を支える滞在施設、さいたまハウスを訪れ、肝移植家族会の方々と交流した。

 さいたまハウスは、遠方から治療に訪れる子どもと家族の負担を少しでも軽減するため、施設の運営費は寄付と募金でまかなわれており、昨年までは1人1日1000円かかっていた利用料が今年から無料になっている。ボランティアスタッフは約200人。その中には西川にさいたまハウスの存在を伝えた方もいる。7年前、西川が地域の人から聞いた、さいたまハウスという場所。そこから始まった活動が地域の人たちをつなぐ接点になっている。

 選手たちが到着すると、参加者は笑顔で出迎えた。選手たちも利用者と会話を交わしながら、日頃の応援への感謝を伝えた。子どもたちからは、選手の似顔絵が描かれたカードや手作りのプレゼントが贈られた。

 続いて訪れたのは、埼玉県立小児医療センターのリハビリ室。さまざまなリハビリに励む子どもたちと交流し、和田が子どもたちの前でリハビリ用の遊具を体験。長嶋と丹野は女の子と一緒にリハビリ用のミニサッカーボールを蹴った。選手と子どもたちが一緒に体を動かすと、自然と笑顔が広がった。その様子を見つめる西川も、とびきりの笑顔を浮かべながら子どもたちに温かいエールを送った。

 スポーツには、言葉だけでは届かないものを伝える力がある。実際に、スポーツ選手との交流が子どもたちの背中を押すこともあるという。ドナルド・マクドナルド・ハウスさいたまでマネージャーを務める竹内敦さんは、「今までリハビリに消極的だった子どもが、選手との交流をきっかけに意欲を高めてすごく頑張るようになるなど、スポーツ選手の力は本当に大きいと感じます」と語る。

 そして、竹内さんが強調したのは、この活動が継続されていることの意義だった。「西川選手が継続してこの活動を発信してくれていることで、さいたまハウスの存在を多くの方に知っていただく大きな力になっています」

 訪問は、その日、子どもたちに笑顔を届けるだけではない。選手が地域に足を運び続けることで、普段は接点を持つことの少ない人たちが出会い、さいたまハウスの存在を知る人が増える。そこで生まれたつながりが、また別の支援や交流につながっていく。7年間という時間の中で、この活動は少しずつそんな役割を担うようになっている。

 最後に4選手は小児病棟を訪問。浦和レッズのグッズを詰め込んだプレゼントをハートフルカートに乗せ、治療に励む子どもたちに手渡した。一人ひとりと目を合わせ、言葉を交わし、サインや記念撮影に応じる選手たち。子どもたちだけではなく、ご家族からも自然と笑顔がこぼれた。中には、持参したサッカーノートにサインをもらった男の子もいた。「レッズの選手が来ると聞いてお父さんがノートを買ってきてくれました。このノートに、サッカーの技術のことや仲間を大事にする大切さについて書いていこうと思っています」

 選手との出会いが、一人の子どものこれからにつながっていく。

 約2時間にわたる交流を終えた4選手は、そろって同じような言葉を口にした。「元気を届けるつもりでここに来たけど、逆に自分が子どもたちから元気をもらいました」

 西川はこのように語った。「僕自身は今回で4回目の訪問でした。毎回、子どもたちの笑顔に僕たちが救われています。僕たちもピッチの上で頑張っている姿を見せることで、少しでも元気や勇気を届けられたらと思いますし、この活動は継続することが大事だと思っています」

 その「継続」という言葉には、7年間活動してきた西川だからこその実感が込められている。「今回は和田選手やレディースの選手も参加してくれて、活動の輪が広がっていることをうれしく思いますし、これからも続けていきたいです」

 初めて参加した和田も、「この経験をこれからの活動やプレーにつなげていきたいです」と話した。そして今年、新たな一歩を踏み出したレッズレディース。長嶋は「子どもたちの笑顔やパワーをたくさんもらい、自分自身もこれからもっと頑張りたいという気持ちになりました」と振り返り、丹野も「また機会があれば、レッズレディースとしても個人としてもぜひ参加したいと思います」と話した。

 これまでトップチームの選手を中心に続いてきた活動に、今年からレッズレディースの選手が加わったことは、単に参加者が2人増えたということではない。選手たちがそれぞれの立場から地域との接点を持つ。そこで得た経験が、選手を通じてチームへ持ち帰られ、また次の世代へと受け継がれていく。

 最後に西川は、今回会うことのできなかった子どもたちにも思いを寄せた。「また、僕たち浦和レッズと三菱重工浦和レッズレディースで一緒に足を運んで、会いに来たいと思います。そして、この活動は僕がいつか現役を引退したあとも続けてほしいと願っています」

 その言葉に、埼玉県立小児医療センターとさいたまハウスのスタッフから大きな拍手が起きた。スポーツ選手が地域を訪れ、子どもたちに元気を届ける。言葉にすれば、それは一日の交流活動に過ぎない。けれど、7年間続けてきたからこそ、互いに笑顔を交わし合う関係が生まれている。地域との関係は、何度も足を運び、顔を合わせ、言葉を交わし、その時間を積み重ねることで少しずつ育っていく。だからこそ、この活動で最も大きな意味を持つのは「続けること」なのだ。

 今日の笑顔が明日につながり、今日生まれた出会いが、また次の出会いを生む。その積み重ねの先に、スポーツが地域の中で果たすことのできる新たな役割が見えてくる。

取材・文=矢内 由美子