【ブリュッセル時事】国際刑事裁判所(ICC、本部オランダ・ハーグ)の赤根智子所長らを対象としたトランプ米政権の制裁措置を巡り、欧州各国が反発を強めている。赤根氏らへの連帯を表明する国が相次ぎ、ICCの独立性を支持する声が拡大。欧州連合(EU)による制裁への対抗策も浮上するが、実施に踏み切れるかは不透明だ。
「ICCの独立性、完全性、公平性に対するあからさまな攻撃だ」。スペイン外務省は19日の声明で赤根氏らへの「全面的な連帯」を表明し、ICCの「解体」をもくろむトランプ政権を強く非難した。
こうした動きはスペインにとどまらない。ベルギーのプレボ外相も20日、制裁は「(犯罪の責任を問われない)不処罰との世界的な闘いを弱める」と批判。ICC本部があるオランダのベーレンドセン外相も「国際裁判所・法廷は自由に任務を遂行できなければならない」と訴え、ICC支持を前面に出している。
ICCはこれまで、ウクライナに侵攻したロシアのプーチン大統領や、パレスチナ自治区ガザを攻撃したイスラエルのネタニヤフ首相に対する逮捕状を発付。ネタニヤフ氏との密接な関係を築くトランプ大統領は強く反発し、ICCの裁判官や検察官らに制裁を相次いで科してきた。
イスラエルのガザ攻撃を巡っては、スペインやアイルランドが厳しい姿勢を取る一方、ドイツはナチスによるホロコーストの歴史を背景に、イスラエルの安全保障に対する「特別な責任」を重視し、批判を抑えてきた。それでもドイツ外務省は今回、「ICCと赤根所長を支持する」と明言。「法の支配」を維持する役割や実績を根本から否定する理由にはならないとの立場を示した。
今後は欧州各国が打ち出したICCへの支持を具体的な形として示せるかが焦点となる。欧州の一部では、米国など第三国の制裁がEU域内の企業や個人に及ぼす影響を抑える「ブロッキング規則」の発動を求める声も上がっている。
だが、EUが対抗措置を講じれば、米国との亀裂が一層深まるのは必至。EU欧州委員会報道官は20日の記者会見で「最新の制裁の影響を注視している」と述べるにとどめ、ブロッキング規則の発動の可能性については言及を避けた。
〔写真説明〕国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長