TBSでは、毎週金曜よる10時から蒼井優主演の金曜ドラマ『Tシャツが乾くまで』を放送中。第7話の放送を前に、園田あずさを演じる夏帆にインタビューを実施した。
◆蒼井優主演「Tシャツが乾くまで」
本作は、脚本家・生方美久による完全オリジナルストーリー。とある事故がきっかけで、当たり前に続いていくと思っていた幸せな日常が、突如崩れ去ってしまった二組の夫婦の喪失から始まる“愛”と“秘密”を描く。
夏帆が演じるのは、第1話でバス事故に巻き込まれて亡くなったあずさ。家族3人で幸せに暮らしていたあずさはなぜ、夫・樹生(中島歩)に内緒で、第3金曜日に主人公・瀬尾咲子(蒼井)の夫である充(松山ケンイチ)と会っていたのか。第6話では、咲子、樹生、充が一堂に会して話し合う場面も。充の口からはあずさとの関係が語られたが…。
まだまだ謎が多い本作。天真爛漫だがどこかつかみどころのないあずさとはどんな人物なのか。夏帆が思うあずさと樹生、あずさと充の関係性。そして、物語のテーマとは。(modelpress編集部)
◆夏帆、中島歩は「率先してムードを作ってくださる」
―― あずさを演じてみていかがですか?
夏帆:あずさはバス事故で亡くなってしまいましたが、回想シーンや樹生の中の“イマジナリーあずさ”みたいな姿で出てきます。そういった少し日常とはかけ離れたシーンが多い中、実際に演じてみると、台本を読んでいたときよりもそのシーンが膨らんでいく印象を受けました。それはきっと(中島)歩さんと何度か共演させていただいた関係性があるからだと思います。歩さんとも撮影現場で「初めましての方だといろいろ探っていく時間があるけど、今まで一緒に時間を経てきたからこそ作れた空気感ってあるよね」というお話をしています。
―― 中島さんとの息が合ったお芝居に心を動かされた方も多いと思います。
夏帆:どのシーンも歩さんが率先してムードを作ってくださるので、私はその空気感に乗らせていただいています(笑)。最初に台本を読んだときから、歩さんが演じる樹生がすごく楽しみだったんです。撮影に入って、悩みながらも丁寧に気持ちの整理をつけながら演じられる姿がすごく素敵だと思いました。樹生を演じられるのは歩さんしかいないんじゃないかと思うくらいぴったりな役だなと。
―― あずさと樹生の関係性をどのように見ていますか?
夏帆:話が進むにつれ、あずさが家族や夫に対して思っていることが、どんどん分かってくるのですが、あずさはすごく幸せだったと思います。でも、夫に不満がまったくないわけではなかったと思うんです。どんなに好きで近くにいても、相手に見せない顔があったり、その顔を自覚的に隠していたりもする。ただそれは、相手に秘密を作っているわけではなくて。誰にでも“自分だけの居場所みたいなもの”ってある気がします。
◆夏帆、蒼井優との共演に感激「仕事を続けてきて良かった」
―― あずさはどのような人物だと思いますか?
夏帆:最初は、すごくまぶしい人という印象を受けました。天真爛漫で感情表現が豊か。自分を取り繕うことがない、素直で正直な人です。人を巻き込むエネルギーもあって、ちょっとした“ずるさ”みたいなものも持っている。その一方で、達観しているところもあるというのが、あずさの捉えどころのない魅力につながっていると思います。あずさの魅力をどこまで演じきれるのか、私にとっても挑戦です。
―― 話数が進む中で、樹生が知らないあずさの一面が見えてきますが、どのように捉えていますか?
夏帆:もしかしたら彼女の生い立ちも少なからず影響しているのかもしれないですが、本能的に人生を面白がる術を持っているなと思いました。「こういうふうに自分を見せたい」というよりも、もっと動物的に動いているというか。彼女なりに人間関係を築く上での考えもあって、それが充さんとの関係にもつながっているのかなと感じています。
―― 先ほどお話にあがった中島さん以外の共演者の皆さんの印象についても教えてください。
夏帆:優さんとは10代の頃にCMでご一緒させていただいたことがあります。ユーモアもあって、とてもかっこいい方です。ずっと憧れていたので、今回(作品として)初めて共演できて、「仕事を続けてきて良かった」と思いました。セリフのニュアンスや仕草、表情などの繊細なお芝居の積み重ねで咲子の心情がより立体的になっていくのを見て、本当に素敵な俳優さんだと思いました。
松山ケンイチさんとは、直接顔を合わせてお芝居するのは初めてです。お芝居はもちろん、お芝居以外のことも「どうやったら楽しんでもらえるのか」と、遊び心を持って考えている方だと感じています。撮影の合間に、作品のことからたわいもないことまで、いろいろお話しさせていただいていますが、それが少しあずさと充みたいだなと(笑)。大先輩ですが、とても居心地が良くて、フラットな自分でいられます。
高橋(文哉)くんは、とてもしっかりした方。年下ですが、すごく頼りにしています。私が「初めてお芝居する相手や初めての場所だとなじむのに時間がかかる」という話をしたら、高橋くんが「そうなんですか!? 僕はすごく楽しかったです!」と、キラキラした目で話してくれて。本当にお芝居が好きなんだと思いました。優さん、歩さん、松山さん、高橋くん。本当にものづくりが好きな方たちが集まった作品だと感じています。
◆蒼井優、今後の見どころ明かす
―― 生方美久さんの脚本を読んだ印象は?
夏帆:とても難しいです。日常会話のようでいてそうではなく、軽やかなやりとりの中にすごく強い言葉がある。ちょっとしたニュアンスで伝わり方が変わるような言葉など、生方さんらしい言葉がちりばめられています。お芝居の中で自分の言葉にできるように、毎回試行錯誤しながら臨んでいます。
―― 本作について生方さんご自身は「共感ではなく、人間観察」とコメントされていました。
夏帆:誰かに寄り添うような優しい物語ではないですが、だからこそ何か残るものがあるような気がします。台本を読んでいると、誰にでも人に見せたくない面があって、それは自分の中にもあるということに気づかされます。生方さんのフィルターを通して、人の持つずるさや不器用さ、人間模様が描かれているところがすごく面白いです。
―― 衝撃の展開が続きましたが、今後の見どころについて教えてください。
夏帆:こんなに見どころを説明するのが難しい作品というのもなかなかないですが(笑)、それが今回のドラマの一番の見どころなのかなと思います。視聴者の皆さん、いろいろ考察されていますよね。私も話の展開を何となく想像しながら台本を読んでいるのですが、毎回ことごとく覆されています(笑)。「こっちに話が展開していくんだ」という驚きがあるので、見終わった後に皆さんといろいろ話してみたいです。
後半、生方さんが描きたいテーマみたいなものがどんどん浮き彫りになって、そのテーマが明確に見えたときに「すごい!」と思わず声が出てしまいました。核心とは違うのかもしれませんが、この作品が描きたいものがあずさと充の関係性の中にもあるのかなと。私自身、「自分も知らず知らずのうちに凝り固まった価値観を持っているのかもしれない」という気づきがありました。新たな視点で誰かと関係性を築いていく、そんなことに目を向けられる作品になっているのではないかと思います。