国道1号「静清バイパス」で唯一の平面交差区間の立体化工事が進んでいます。2026年8月、現地の様子を見てきました。
静清バイパス唯一の“平面交差”区間
旧東海道を下敷きに静岡県内を東西に横断する「国道1号」は、各所に信号のない高架のバイパスが設置され、一般道ながら多くの交通量をさばいています。ただ一部にはまだ平面交差や片側1車線の区間も残り、慢性的な渋滞が発生していることから、現在も改良工事が進められています。
そうした改良工事のうち、まもなく一部完工し、混雑緩和に大きな貢献が見込まれる区間が、「静清(せいしん)バイパス」の「清水立体事業」です。静岡市街地の「横砂北」交差点から「清水IC西」交差点まで延長2.4kmを立体化します。
静清バイパスは静岡市の「興津IC」から「丸子IC」を結ぶ24.2kmのバイパスで、2018年までに全線の片側2車線化が終了、静岡市内の東西を通り抜ける大動脈となっています。その大部分は高架化され、信号もない“ほぼ高速”の快適な道路です。
ただし、今回事業が進められている区間については、片側2車線が確保されているものの、静清バイパスで唯一立体化が遅れており、信号のある交差点が6か所あります。しかもその区間は、東名高速の「清水IC」と接続すること、すぐ南には清水港があることなどから、通過交通と港湾施設、物流施設に出入りする交通とが混交し、大きなボトルネックとなっているのです。
清水立体事業は2016年度に工事着手、2026年春の開通を目指し工事が進められていました。しかし2023年に、工事中の橋桁(長さ63m)が地面に落下、死者2名、負傷者6名という事故が発生します。この事故により工事はいったん中断、安全対策を見直した上で再開されたという経緯があります。
現在、工事は「上り線側」の2026年度先行開通を目指して進行中で、上り線の橋桁の架設は完了しています。今年度は床版工事、舗装工事、道路標識や照明設備などの道路付属物の整備工事を行っています。
さて2026年の8月中旬、現地を訪ね、工事の状況を確認してきました。
富士市方面から国道1号「富士由比バイパス」を西に進むと、「蒲原東IC」の先からは市街地の海側を走る快走路となります。蒲原海岸から興津までは東名高速、JR東海道本線とも並走し、信号は「由比漁港」交差点など数か所にあるのみです。
興津川を「新興津川橋」で渡ると、国道1号は静清バイパスとなり、すぐに東海道新幹線の高架が見えてきます。しかし快走路はここまでで、高架の手前には「横砂東」交差点の信号が現れます。そしてその先からが、清水立体事業の工事区間です。
現状では“街が分断”状態
ここから清水ICを過ぎるまで、ロードサイドには大型の商業施設こそないものの、自動車ディーラー、ガソリンスタンドなどが建ち並び、交通の流れはぐっと遅くなります。また途中の「庵原」交差点では清水港に行き来するクルマが多く右左折します。
訪問がお盆時期だったことから、混雑は限定的でしたが、ふだんの平日であればより多くのクルマが行き交っているだろうことが、容易に想像できました。
そしてその混雑を緩和するためか、この区間の交差点では国道1号側の青信号が長くとられ、交差する側の道路も渋滞気味です。とくに歩行者については、横断歩道がない交差点もあり、“街の分断”が実感できました。こうした難点も、通過交通が高架道路に分離されれば、解決に向かうことになるでしょう。
32km信号なし区間誕生へ
現地で工事の状況を見てみると、橋脚はすべて立ち上がっていて、先行開通する上り線側の橋桁は、下から見上げる限り、あたかも開通済みに見えてしまう部分もあります。
また工事区間の西端では、完工時にすでに高架となっている区間との道路の切り替えをスムーズにするためか、片側2車線の本線をいったん分流させる不規則な規制が行われていました。今後もこうした規制が変更を含め運用されると思われ、通行時には標識や案内に注意が必要でしょう。
この区間の工事にともない、横砂東交差点の信号は撤去される見込みであることから、完工後の国道1号は、富士由比バイパスの「西倉沢」交差点から「岡部バイパス」の「廻沢口」交差点まで、約31kmが信号なしでつながることになります。国道1号の交通量が少ない時間帯であれば、この区間をノンストップで走ることも可能でしょう。また混雑する時間帯でも、従来より移動時間は短縮され、また走りやすさと歩車分離により、安全性は大きく向上するはずです。
そしてこれまで国道1号で分断されていた市街地も、信号サイクルの見直しによる交差道路の利用しやすさの向上、さらには横断歩道の新設による歩行者への利便性の確保など、大きなメリットが生まれるかもしれません。
まずは今年度中の上り線のスケジュールどおりの供用と、残る下り線のスムーズな工事の進行に期待したいと思います。