100機では足りない!? 米空軍が次世代ステルス爆撃機「B-21」を大増産したい切実な理由 じつは深刻な課題が

紫外線対策「目の防護」も重要に

アメリカ軍が開発中の次世代爆撃機B-21。既存の爆撃機を置き換える100機の生産を計画していましたが、それを上回る規模が必要との議論が持ち上がっています。

B-1BとB-2の後継となるステルス爆撃機

 アメリカ空軍とノースロップ・グラマンが開発を進めるB-21「レイダー」に、調達規模そのものを見直す動きが生じています。

 現在の計画では、B-21は100機が調達され、老朽化したB-1B「ランサー」とB-2「スピリット」の後継として、米国の長距離打撃戦力を再編する役割を担います。近い将来、アメリカ空軍の爆撃機戦力はB-21を100機、B-52Hを76機とする体制が計画されています。

 しかし、この「100機」のB-21という数字が、将来の最終的な生産数になるとは限らないようです。2026年4月30日、ピート・ヘグセス国防長官は議会で、アメリカ空軍は100機をはるかに上回るB-21を必要とする可能性があるとの認識を示しました。

 具体的な機数には踏み込まなかったものの、B-21をF-47と並ぶ将来の米軍戦力における重要な航空機と位置づけ、必要に応じて調達を拡大する考えを明らかにしました。また、空軍内部でも100機を超える新たな目標機数を設定する可能性が議論されているようです。

強力な防空網に対抗するために生まれた

 なぜB-21を増産する必要があるのでしょうか。最大の理由は、中国のような対等な相手国が持つ高度な統合防空網への対処です。太平洋では、中国人民解放軍が長射程地対空ミサイル、戦闘機、早期警戒管制機、弾道・巡航ミサイルなどを組み合わせた広大な防空・接近阻止能力を構築しています。

 こうした環境では、航空機が大量の燃料と兵器を搭載して敵領域へ侵入し、そこで長時間活動するという従来型の爆撃機運用には大きなリスクが伴います。B-21は、この問題に対してステルス性を主体として情報収集・ネットワーク能力、電子戦を組み合わせて対応することを可能にします。
 
 旧来のB-52Hは空中発射型巡航ミサイルを使用し、敵防空圏外から攻撃を行うことを想定しています。しかし、長射程兵器(スタンドオフ・ウエポン)は1発あたりの価格が数億円規模と非常に高価であり、遠隔攻撃により破壊できる目標数には限りがあります。

 一方で、敵防空圏内へ進出可能なB-21ならば、1発あたり数百万円であるJDAM誘導爆弾を使用するという選択肢も視野に入ります。これにより、桁違いに多くの標的を破壊できる計算となるほか、潤沢な在庫があることから継戦能力を引き上げることも可能になります。

現状維持ではなく、空軍戦力の再構築を目指すため

 2025年6月22日に実施されたイランの核施設へのアメリカの攻撃「ミッドナイト・ハンマー作戦」では、地下施設の破壊のため、B-2に搭載した大型地中貫通爆弾「MOP」が用いられました。

 しかし、この爆弾は極めて重量が大きい(13.6トン)ためスタンドオフ・ウエポン(長射程兵器)とすることが難しく、搭載機には敵防空圏内への侵入能力が必須です。そして、B-2はMOPを2発搭載できますが、小型のB-21はおそらく1発しか搭載できないと考えられます。そのため、大規模な戦争となれば、より多くの機体が必要になるのです。

 具体的にB-21の戦力規模はどの程度拡張する必要があると考えられているのでしょうか。シンクタンクや空軍内部の数字によると、145機から200機といった構想があります。これらは現時点で米空軍が正式決定した調達目標ではありませんが、現状の100機調達は老朽化した爆撃機を置き換える「現状維持」を狙ったものであるのに対し、200機という規模は米国の航空戦力を再構築する一段階大きな戦略判断であると言って良いでしょう。

 B-21の生産数は100機で終えるのか、それとも200機規模へ拡大するのか。それは、アメリカが中国との将来の大国間競争をどのようなものとして捉えているのかを映し出すものと言えます。