まだ本気出せないの!? 16年前に初飛行したロシア自慢のステルス戦闘機「Su-57」が抱える深刻な問題

サングラスで仕事 今後増える?

アメリカのF-22戦闘機に対抗すべく開発されたロシア初のステルス戦闘機Su-57ですが、いまだに本格量産の壁を越えられずにいます。

原型機初飛行は2010年1月

 戦闘機開発は、現代兵器開発のなかでも最も長期化しやすい国家プロジェクトの一つです。高度な空力設計、ステルス技術、センサー、ソフトウェア、エンジンといった多様な要素を高度に統合しなければならず、そのいずれか一つでも開発が遅れれば、計画全体に波及します。アメリカのF-35でさえ、開発期間の長期化や予算の膨張を避けることはできませんでした。そうした事情を踏まえても、とりわけ苦闘が続いている計画として挙げられるのが、ロシア初の第5世代戦闘機Su-57です。

 Su-57の原型機T-50が初飛行したのは2010年1月でした。当時のロシアは、本機をF-22ラプターに対抗し得る新世代戦闘機と位置付け、高い機動性能、優れた低被探知性、高性能センサーを融合した多用途戦闘機の実現を目指しました。しかし、それから16年以上が経過した現在も、本格的な量産体制が確立されたとは言い難い状況が続いています。

 これまでに製造された機体は約30機と推定されていますが、その多くは試験評価や部隊運用試験に投入されているとみられており、ウクライナ戦争においてもその運用は極めて限定的です。

難航する新世代エンジンAL-51F開発

 確認されている任務の多くは、自国領空あるいは前線後方から長距離兵器を発射するものであり、敵防空網へ深く侵攻するような作戦への投入は確認されていません。これは最新鋭戦闘機の損耗を避ける軍事的・政治的判断に加え、実戦投入可能な機数そのものが限られている事情も影響していると考えられます。

 ロシア政府は2028年までに76機を調達する計画を掲げています。数字だけを見れば突出した規模ではありませんが、これまでの生産実績を踏まえると決して容易な目標ではありません。

 現在約30機が存在すると仮定すれば、残る約46機を今後2年半で完成させる必要があり、年間20機近い引き渡しを継続しなければ計画は達成できません。これまでの生産ペースを考慮すると、生産能力の大幅な向上が不可欠となります。

 その最大の障害となっているのが、新世代エンジンAL-51Fの開発遅延です。現在量産されているSu-57には、暫定措置としてSu-35と同系統のAL-41Fが搭載されています。本来搭載が予定されていたAL-51Fは、より高い推力を備え、超音速巡航能力や燃費、推力重量比を大幅に改善する中核技術と位置付けられてきました。しかし開発は当初の計画から遅れており、2026年に引き渡された機体も引き続きAL-41Fを搭載しているとみられています。

安定した量産・配備には課題が多く残る

 もっとも、Su-57の機体そのものの改良は着実に進められています。近年には複座型とされるSu-57Dの存在が明らかとなり、無人戦闘機との協調運用や操縦士養成を視野に入れた発展型として注目されています。

 また、新型ヘッドアップディスプレイや改良型ミサイル接近警報装置なども導入され、アビオニクスや自己防御能力の向上も図られています。将来的には無人戦闘機S-70「オホートニク」との連携が計画されるなど、ネットワーク化された航空戦力の中核を担うという構想自体に変更はありません。

 しかし、高度な技術を備えた試作機を完成させることと、それを安定した戦力として量産・配備することは全く異なる課題です。Su-57は優れた技術的潜在力を秘めた戦闘機である一方、その能力を空軍全体の戦力へ転化するには、生産能力の拡充と新型エンジンの実用化という二つの課題を克服しなければなりません。

 2028年までに76機という調達目標は達成できるのか。そしてAL-51Fの実用化は量産計画に間に合うのか。量産機が安定して前線部隊へ配備され、Su-57が真にロシア空軍の主力戦闘機として定着するのか、それとも過渡期がさらに長期化するのか。その答えは、今後数年間の生産実績とエンジン開発の進展が示すことになるでしょう。